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政策金利上昇決定!6月の日銀会合を受けた不動産市況と建築業界の展望

日銀は2026年6月15日・16日に開催した金融政策決定会合において、政策金利(無担保コールレート)を0.75%程度から1.00%程度へ0.25%引き上げることを決定しました。
政策金利1.0%という水準は1995年以来31年ぶりの高水準です。
政策委員8名のうち7名が賛成し、追加利上げが実現しました。同時に長期国債の買入れについて2027年4月以降の減額停止も決まっています。

会合の位置づけと今後の利上げ観測

今回の利上げは、中東情勢に伴う原油高と根強い円安を背景とした物価上振れリスクへの警戒が主因と考えられます。
会合後の会見で内田副総裁は「経済・物価・金融情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げていく」と述べ、利上げ継続の姿勢を明確にしました。

市場では次の利上げ時期を10月ないし12月とみる向きが多く、ターミナルレート(到達点)は1.5%~2%前後との見方が優勢です。またこの予想値は上昇傾向にあります。
会合当日は、日経平均株価が取引時間中に一時7万円台に乗せる一方、長期金利は上昇し10年国債利回りには先高観が意識されました。
不動産・建築などの業界関係者は、金利のある世界への移行が着実に進んでいることを前提に据える必要があります。

不動産投資市場・住宅ローンへの影響

政策金利の引き上げは、長期金利の上昇を通じて不動産投資に二つの側面から影響を与えます。
第一に、住宅ローン金利への影響です。
変動金利の基準となる短期プライムレートは政策金利に連動するため、変動型の適用金利には遅れて上昇圧力がかかります。
固定金利も長期金利の上昇を受けて上振れしやすい局面にあります。返済負担の増加は一次取得者の購買力を圧迫し、住宅需要の頭を押さえる要因となります。

第二に、投資利回りへの影響です。
金利上昇局面ではキャップレート(還元利回り)に上昇圧力がかかり、同じ賃料収入でも理論価格が押し下げられます。
ただし賃料の上昇が続けばNOI(純収益)の増加が価格を下支えするため、賃料改定力のある優良物件とそうでない物件との二極化が一段と進むと考えられます。加えて借入金利の上昇はレバレッジを効かせた個人投資家の投資意欲や与信枠を圧迫するため、不動産取引市場全体では選別色の強い展開が予想されます。

円安持続と建築費上昇の可能性

見落とせないのは、利上げ後も円安基調が続いている点です。
ドル円相場は2026年に入ってからも1ドル150~160円台の円安水準で推移し、4月には政府・日銀が円買い介入に踏み切る場面もありました。

日米金利差が大きく縮まらない中、今回の0.25%の利上げだけで円安の流れを反転させるのは難しく、一段の円安進行が続けば年内の追加利上げを迫られるとの指摘もあります。実際に6月末には162円台を付ける場面もありました。

この円安は、建築業界にとってコスト上昇要因として直接的な影響を及ぼします。
木材・鉄鋼・アルミ・断熱材など建築資材の多くを輸入に依存する日本では、円安が資材価格の押し上げ要因となるためです。
建設物価調査会の建築費指数(東京)をみると、2026年3月時点で集合住宅(RC造)は前年同月比5.5%増、木造住宅は同5.9%増となっており、2015年比で4~5割の上昇が見られます。

また、人手不足による労務費の上昇(建設業賃金は2025年度に前年比6.0%増)や2024年問題、省エネ基準の適合義務化も重なり、建築費は「高止まりから緩やかな上昇」が続く見通しです。

こうしたコスト上昇は、新規開発の採算を悪化させます。分譲マンションや賃貸住宅において、建築費の上昇分を販売価格や賃料に転嫁できなければ事業が成立しにくくなり、着工の先送りや計画の見直しにつながります。

2025年12月に全面施行された改正建設業法では、資材費や労務費の上昇を発注者に転嫁する交渉の根拠が明確化されており、建設物価指数などの客観データに基づく適正な価格転嫁が、業界全体の持続可能性を左右する課題となっています。
供給側の制約は、中長期的には既存物件の希少性を高める方向にも働きます。

まとめ

不動産・建築業界は、資金調達コストと建築コストの上昇という二重の圧力に直面しています。
金利の上昇は投資価格に下押し圧力をかける一方、円安と建築費高騰は新規供給を抑制し、結果として既存ストックの価値や賃料を下支えする面もあります。
こうした相反する力が同時に働くため、金利・為替・建築費の三つを併せて読み解く視点がこれまで以上に重要になります。

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書

「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

レギュラー出演

ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

公式サイト

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