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人口減少でも世帯数は増加 最新の国勢調査から賃貸需要を予測

賃貸住宅の需要は、人口構成や世帯数の動向に大きく左右されます。
これから賃貸住宅を所有しようと考えている法人や個人にとって、世帯数の長期的な推移を把握できる国勢調査は重要なデータと言えるでしょう。
さて、2026年5月29日、2025年に調査を行った国勢調査の人口速報集計結果が公表されました。
今回は、この速報結果(速報では男女別人口と世帯数のみが公表され、その他の集計は2026年9月頃から順次公表される予定です)をもとに解説します。

国勢調査とは

国勢調査は1920年(大正9年)に開始されて以来、5年に1度、西暦で5の倍数の年に行われる日本で最も重要とされている統計調査です。
今回は2025年分の調査で、調査開始から105年、22回目の調査にあたります。

国勢調査は、日本人に加えて日本に住む外国人に対しても行われます。
調査項目は、人口・世帯数のほか、男女の別、出生の年月、就業状態、従業地または通学地、世帯構成、住居の種類、住宅の建て方などで、調査結果は、行政の政策、各種法令の制定、その他さまざまなことに利用されます。

人口減少のスピードが加速

2025年10月1日時点における日本の人口(外国人含む)は、約1億2,305万人で、前回調査(2020年)に比べて約309万7,000人減少しました。
減少率はマイナス2.5%で、前回の減少率(2015~2020年)がマイナス0.7%だったことから、減少幅が大きく拡大しました。
5年ごとにみる人口減少は3回連続で、減少数・減少率ともに1920年の調査開始以来、最大となっています。

前回の減少人口が約94万8,000人だったのに対し、今回は約309万7,000人と、人数でみても減少幅が大きく拡大しました。
こうしてみると、日本の人口減少はこの5年で一気に加速したといえるでしょう。

都市部に人口は集中

近年の人口動態の大きな特徴は、大都市部への人口集中です。
東京都の人口は約1,425万人(全国人口の11.6%)、神奈川県が約919万人、埼玉県が約729万人、千葉県が約626万人で、東京圏(1都3県)では約3,699万人となり、全人口の30.1%、すなわち3割が東京圏に住んでいることになります。

この5年で東京圏に住む人口は約7万人増加しましたが、その増加は東京都(約20万人増)によるものであり、神奈川県・埼玉県・千葉県はいずれも人口が減少に転じています。東京都自体も2015~2020年の増加幅は3.9%でしたが、2020~2025年は1.4%にとどまり、増加幅は縮小しました。

都道府県単位で人口が増加したのは東京都と沖縄県の2都県のみで、前回まで増加していた埼玉県・千葉県・神奈川県・愛知県・滋賀県・福岡県の6県が今回は減少に転じました。ただし、政令指定都市など都市単位でみると、福岡市が3.2%増と21大都市の中で最も高い増加率を示すなど、県内の中心都市への集中は続いています。
福岡市は九州地方における都市集積の中心であり、今後東京圏に次ぐ主要都市としての役割が増していく様子がうかがえます。

また、前回まで人口が増えていた沖縄県も増加率が2.4%から0.1%へと大きく鈍化し、勢いに陰りが見えています。
前回一時的に増加に転じていた大阪府は、今回は0.8%の減少と再びマイナスに戻りました。それでも大阪府は3番目に人口が多く約877万人、兵庫県は7番目に多く約532万人となっており、首都圏への集中が進む一方で、関西にも依然として多くの人が住んでいるといえます。
全国的にみると、人口が増加したのは東京都と沖縄県の2都県のみで、残り45道府県で人口が減少しています。

地方都市の人口減少は進むが、エリア内での明暗も

地方都市の多くでは人口減少幅が大きくなりました。
こうした地域では、その地域内での人口移動も多く、各地域の中心地や利便性のよい都市では人口が増加しています。
地方都市におけるこうした人口集中地域では、流入者も多いことから、さらに賃貸住宅需要が高まることが予想されます。
このように、人口減少が進む地方都市でも、エリアによっては賃貸住宅需要が拡大すると考えられます。

世帯について

次に世帯の集計結果です。
2025年10月1日時点での日本の世帯数は約5,713万世帯で、この5年で約129万4,000世帯増加しました。増加率はプラス2.3%となっています。

世帯数は、調査開始から一貫して増加を続けているものの、前回(2015年~2020年)の増加率は4.5%だったのに対し、今回の増加率は2.3%と縮小しました。
人口が減るなかでも世帯数が増え続けているのは、核家族化の進行に加え、単身世帯の増加が主な要因だと推測されます。

1世帯当たりの平均構成人員は2.15人となっており、一貫して減少が続いています。
1995年調査で初めて3人を下回りましたが、この30年でさらに構成人員が減っている状況が浮き彫りとなっています。
東京都では1世帯当たり人員が1.88人と全国で最も少なく、東京に住む単身世帯の多さがうかがえます。
関西では大阪府が2.03人、京都府が2.05人と、いずれも全国平均(2.15人)を下回っています。

都道府県別にみると、世帯の増加率が最も高いのは沖縄県で、次いで東京都、大阪府となっており、15道県を除く32都府県で世帯数が増加しました。

世帯数と賃貸住宅需要

住宅需要は人口以上に世帯数の影響を大きく受けます。
人口減少が加速する日本ですが、世帯数は依然として増加しています。ただし、その増加幅は前回に比べて縮小しており、世帯数の増加ペースにも鈍化の兆しが見えています。

特に単身世帯の60%から75%程度(地域により異なる)は賃貸住宅に暮らしています(今回の速報集計では世帯構成の詳細が未公表のため、これは前回調査時点の数字です)。
世帯数増加の大きな要因は単身世帯の増加と考えられるため、こうした点を踏まえると、人口減少が加速するなかでも、大都市はもちろん、地方都市の利便性の良い場所などでは、今後も一定の賃貸住宅需要が見込まれるものと思われます。

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書

「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

レギュラー出演

ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

公式サイト

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