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再び政策金利上昇!9月の日銀会合を受けた不動産と建築業界への影響

日銀は2026年9月17日~18日に開催した金融政策決定会合で、政策金利(=無担保コールレート)を1.0%から1.25%程度へ0.25%引き上げることを決定しました。6月に政策金利を引き上げてから3カ月での利上げとなりました。
平成7年(1995年)4月に1.0%(当時は公定歩合)、9月に0.5%(同)となり、以降31年間続いた0%台の金利から今年6月に1.0%に、そして今回1.25%となり、「金利」が鮮明に実感されるようになってきました。

政策金利利上げの背景

2024年3月の金融政策決定会合でマイナス金利が解除されて以降、政策金利は年2回概ね半年に1度、それぞれ0.25%の利上げが行われてきました。しかし、今回は3カ月というこれまでより短いスパンでの利上げとなりました。
会合では委員のうち、賛成7人、反対2人だったとの報道ですが、市場関係者は(あるいはメディアの報道でも)ほとんどが今回の会合で0.25%の利上げが予想されていたことを思えば、全会一致(9人全員賛成)ではなく、2人の委員の反対は注目に値します。

今回の利上げは、「長引く円安と原油高を背景とした物価上昇が続いていており、さらにこのところの企業物価指数をみれば、物価はさらに上がる見通し」に対する警戒が背景にあると考えられます。また、黒田前総裁が掲げた「安定的2%の物価上昇」という目標に対して、消費者物価指数(コア指数)を見ても、4年以上概ね2%以上の物価上昇が続いており「目標は達成されている」、そして「これ以上の物価上昇には警戒」ということでしょう。
いうまでもありませんが、「金利を上げる」という政策は「需要を抑える」ために行うものです。

政策金利はどこまで上昇するのか?

会合後の会見で植田総裁は「経済・物価・金融情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げていく」と述べ、利上げ継続の姿勢を明確にしています。

市場関係者の多くは年度内にあと1~2回の利上げ予想をしており、そうなれば政策金利は1.5%~1.75%になります。また、ターミナルレート(これ以上上がることはないだろうと予想される金利)は1.75%~2%前後との見方が優勢です。
少し前までは、1.5%という意見が大半で上振れ傾向にあり、「物価は上昇し始めると、なかなか止まらない」と言われますが、その兆候が見え始めているようです。
建築工事費の上昇傾向も「なかなか上昇が止まる気配がない」という状況となっています。

ですが、先に書いたように2人の委員は反対しています。
中央銀行(日本の場合は日銀)の金融政策は、政策金利操作、公開市場操作(売りオペ、買いオペ)、支払準備率操作の3つが基本となりますが、現状は政策金利操作が中心です。「政策金利の利上げに反対:据え置き」という事は、「いまの需要を抑える」政策をしない「さらなる金融引き締めに反対」という見解です。現政権は、「金融緩和推進して経済活性化促進」という意向を示していることもあり、今後の動向に注目が集まります。

住宅需要への影響

政策金利の引き上げに伴い、このあと貸出金利は上昇することになります。
まず住宅ローン金利ですが、変動金利の基準となる短期プライムレートは政策金利に連動するため、変動型の適用金利には少し遅れて上昇します。
固定金利は、すでに3%前後にまで上昇している長期金利(10年物)の影響を受けて、4%近くになっています。返済額の増加は住宅取得者の購買力を圧迫することになり、需要が抑える要因となります。

中古マンション市場は、首都圏の全体の数字を見ると、この数カ月は上昇が止まってきています。郊外と中心部(あるいは特定のエリア)、高額価格帯物件と平均的価格帯物件で状況は異なりますが、価格頭打ち感は否めません。
2%を超える消費者物価指数の動向などを見ると、1.25%へ上昇した政策金利ですが、「まだ金融緩和」と言えるかもしれません。しかし、実質賃金がそれほど伸びていない昨今の状況では、支払負担額が大きく感じられることは間違いないでしょう。

円安と建築費上昇の可能性

米国を始め、EUなどでも利上げが続いています。その影響もあって、今回の利上げ発表があった後も為替相場は156円前後で推移しており、大きな変化は見られません。今年一時160円台でしたが、そのころに比べれば円高傾向にあるもののまだまだ円安水準にあります。
この円安は、建築業界にとって原材料というコスト上昇や原油価格上昇要因として直接効いてきます。また、さらなる人手不足による労務費上昇も重なり、建築費はさらなる上昇が続くでしょう。
不動産、建築・建設市場においては、金利の動向、為替の動向には今後も注視が必要です。

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書

「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

レギュラー出演

ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

公式サイト

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