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2026年上半期の新設住宅着工戸数動向と今後の見通し

2026年上半期の新設住宅着工戸数は、前年(2025年)の建築基準法改正に伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けたため、2026年上期の月ごとの前年同月比は-29.3%から+33.9%と振れ幅が大きくなりました。
しかし実数を見ると、5万戸台後半から6万戸台が続いています。上半期の合計を見ると、前年比+0.5%となっています。
上半期累計は前年比+0.5%
国土交通省の「建築着工統計」をもとに、2026年上半期の月次推移を、2025年・2024年の同月と比較して整理すると、以下のとおりです。
| 月 | 2026年 | 前年比 | 2025年 | 2024年 |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 55,898戸 | ▲0.4% | 56,134戸 | 58,849戸 |
| 2月 | 57,630戸 | ▲4.9% | 60,583戸 | 59,169戸 |
| 3月 | 63,495戸 | ▲29.3% | 89,802戸 | 64,308戸 |
| 4月 | 62,569戸 | +11.4% | 56,188戸 | 76,582戸 |
| 5月 | 57,877戸 | +33.9% | 43,237戸 | 65,923戸 |
| 6月 | 66,344戸 | +18.6% | 55,956戸 | 66,287戸 |
| 上半期計 | 363,813戸 | +0.5% | 361,900戸 | 391,118戸 |
出典:国土交通省「建築着工統計調査報告」
※月次の数字は修正されることがあります。
1月~6月の累計は36万3,813戸で、前年同期の36万1,900戸に対し+0.5%となりました。個々の月では二桁の増減が並びながら、半年でならせばほぼ前年並みです。
振れ幅が大きい理由は、冒頭に記したとおり2025年4月1日に施行された改正建築基準法・改正建築物省エネ法です。省エネ基準適合の全面義務化と、いわゆる4号特例の縮小により、確認申請の手続きが重くなることを見越して、2025年3月に大規模な駆け込み着工が発生しました。
同月の着工戸数は8万9,802戸、前年同月比+39.6%という突出した水準です。その反動で4月以降は着工が急減し、5月は4万3,237戸(▲34.4%)と62年ぶりに4万戸台まで落ち込みました。
したがって2026年3月の▲29.3%は「悪化」ではなく前年の駆け込みの裏、4~6月の二桁増は「回復」ではなく前年の急減の裏にすぎません。前年同月比という物差しが、前年の異常値によって使いものになりにくくなっているという状況です。
2024年と比べると「巡航速度への復帰」
そこで、法改正の影響を受けていない2024年と比べてみます。2026年6月の6万6,344戸は2024年6月の6万6,287戸とほぼ同水準(+0.1%)です。持家に限れば、2024年6月の1万9,183戸に対して1万8,553戸と3.3%の減少にとどまります。季節調整済年率換算値も6月は78万6,000戸と、80万戸をやや下回る水準に戻ってきました。
一方、上半期累計で見ると2024年の39万1,118戸に対し2026年は36万3,813戸で、なお7.0%低い水準です。つまり足元で起きているのは需要の回復ではなく、駆け込みと反動をならしたあとの巡航速度への復帰であり、その巡航速度自体が、2025年(1~12月)の74万667戸(前年比-6.5%、1963年以来62年ぶりの低水準)、2025年度(4~3月)71万1,171戸(同-12.9%、リーマン・ショック後の2009年度を下回る水準)という一段低い状況にあります。
利用関係別に見える温度差
上半期累計を利用関係別に見ると、総戸数の横ばいの内側でかなりの温度差があります。
| 区分 | 2026年上半期 | 前年同期比 | 2025年上半期 |
|---|---|---|---|
| 持家 | 97,135戸 | +3.0% | 94,337戸 |
| 貸家 | 161,445戸 | +0.3% | 160,958戸 |
| 分譲住宅 | 102,691戸 | ▲0.2% | 102,931戸 |
| うちマンション | 40,189戸 | ▲14.0% | 46,712戸 |
| うち一戸建て | 61,022戸 | +10.8% | 55,089戸 |
出典:国土交通省「建築着工統計調査報告(令和8年6月分)」
最も目を引くのは分譲住宅の内訳です。総数はほぼ前年並みながら、マンションが-14.0%と大きく落ち込む一方、分譲一戸建は+10.8%と伸びています。価格上昇でマンションが実需の手の届く範囲を超えつつあり、需要が一戸建へ流れている構図がうかがえます。実際、首都圏の新築分譲マンションは上半期の発売戸数が7,989戸(前年同期比-0.8%)と上期として5年連続の減少、平均価格は1億135万円と初めて1億円を超え、初月契約率は64.8%(前年同期比1.8ポイント低下)まで下がりました。
持家は+3.0%と3年ぶりに前年を上回りましたが、2025年年計で20万1,285戸と4年連続の減少を経たあとの水準であり、2021年比では約3割減です。貸家は+0.3%と横ばいながら、家賃上昇が採算を支え、相対的に底堅く推移しています。
下半期の見通し
金利環境は明確に変わりました。日本銀行は6月16日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%程度から1.00%程度へ引き上げ、1995年以来31年ぶりの水準となっています。フラット35(買取型)の最頻金利は7月実行分の3.140%から8月実行分は3.290%へ上昇し、現行制度下で最高を更新しました。さらに、9月の金融政策決定会合でも政策金利は1.25%に引き上げられる見通しです。長期金利も7月末時点で2.8%程度と上昇基調にあり、変動金利も短期プライムレートを通じて秋にかけて順次引き上げられる見込みです。
下半期は、前年の水準が低いため前年同月比のプラスは続きやすい一方、2025年10月以降は反動減が一巡していることから、伸び率は次第に縮小するとみるべきでしょう。
上半期の数字を読むうえで大切なのは、前年同月比に一喜一憂せず、一昨年比・年率換算値・累計値という複数の物差しを併用することだと考えます。事業計画の前提としては、「70万戸台半ばで横ばい、その内訳では分譲マンションが縮小し、分譲一戸建と貸家が相対的に堅い」という構図を置くのが妥当でしょう。
2026年の年間合計は、今後の金融・経済動向次第です。一部のシンクタンクでは70万戸台後半を予測するなど、やや強気な見方もありますが、現在の着工ペースが続けば、75万戸を少し上回る程度に落ち着くと考えられます。
※本稿は2026年6月分までに基づきます。なお、2026年7月分は2026年8月31日公表予定です。
データは、全て国土交通省「建築着工統計」より作成。
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