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2026年3月 髙松建設不動産市況レポート

地価は人口で決まるのか?転入超過率と地価上昇率で読み解く住宅地の実態

2026年(令和8年)3月18日、国土交通省より令和8年地価公示(1月1日時点の地価)が発表されました。
2025年令和7年1月からの1年間の地価動向は、全用途の全国平均が前年比で2.8%上昇し5年連続でプラスとなり、伸び幅はバブル期以降で最大となりました。 なお、住宅地の上昇率は前年と同じ水準でした。

地域差が広がる地価公示

都道府県別 住宅地変動率(2026年)

(国土交通省「地価公示」より作成)

最新の地価公示を見ると、住宅地の地価上昇率は全国平均で+2.1%と上昇基調が続いており、特に東京都(+6.5%)・沖縄県(+6.4%)・千葉県(+4.6%)など、大都市圏や一部の地方都市で高い伸びが目立ちます。
一方で和歌山県(-0.6%)や新潟県(-0.5%)のように、依然として下落が続く地域も多く、地域間の格差は広がっている状況です。

人口流入と地価には「ゆるやかな相関」がある

都道府県別 地価公示上昇率×人口比転入超過率

人口比転入超過率:2025年の転入超過数を2025年1月時点人口で割った割合

上の散布図は、地価公示の変動率と人口動態の関係を示したものです。
全体として緩やかな右肩上がりの傾向が見られ、人口が流入している地域ほど地価が上昇しやすいことがわかります。
人口が流入しているにもかかわらず地価が下落している明確な例は見られず、両者には一定の関係性があることがうかがえます。

次に特徴的なエリアを見ていきましょう。

地価上昇×人口増加エリア

例えば、東京都・千葉県・神奈川県・福岡県などは、人口増加と地価上昇が同時に見られる典型的なエリアです。これらは実需に支えられた「健全な上昇」といえるでしょう。

特に首都圏では、都心部へのアクセスの良さを背景に周辺エリアにも需要が広がっており、千葉県や神奈川県、埼玉県といった近郊エリアでも住宅地の地価上昇が続いています。
また福岡県のように地方中枢都市として機能している地域でも、域内外からの人口流入が続き、住宅需要の底堅さが地価を押し上げています。

このように、人口増加と地価上昇が連動しているエリアでは、「実際に住む人の需要」が地価上昇を支え、短期的な変動に左右されにくい安定した市場が形成されていると考えられます。

人口が減っても地価が上がるエリア

上記は人口が減少しているにもかかわらず地価が上昇している地域です。
日本全体で人口が減少しており、地価も全体的に上昇傾向にあるため、実際にはこれらの地域がボリュームゾーンとなっています。ただ、これらのエリアは一見似た動きをしているように見えますが、その中身は一様ではありません。

まず沖縄県は、観光需要や移住ニーズなどによって地価が押し上げられている特殊なエリアと言えます。

次に青色で示した宮城県・熊本県・京都府・兵庫県などに代表される中核都市エリアです。これらは前年変動率が2〜3%と地価の上昇が目立つエリアです。都道府県全体では人口が減少していても、中心市街地への人口集約が進むことで、住宅地の需要が維持され、地価の上昇につながっています。

また、人口流出が顕著であるにもかかわらず、地価がわずかに上昇、あるいは下げ止まっている地域も存在します。例えば黄色で囲われた長崎県・山口県・秋田県・宮崎県・三重県・岩手県などは、人口流出が続く一方で、地価は大きく下落することなく推移しています。
この背景には、すでに地価が一定程度調整されてきたことによる「下げ止まり」と、県内の中心部における一定の需要があると考えられます。

見るべきは上昇率ではなく「需要の中身」

地価と人口動態にはデータ上でもゆるやかな相関関係が見られました。
しかし実態はより複雑であり、単に「人口が増えているか」「地価が上がっているか」といった表面的な指標だけでは、本質を見極めることはできません。
重要なのは「どこに需要が集まっているか」という点だと言えます。

定点観測データ

Ⅰ 首都圏中古マンション流通レポート

出典:(公財)東日本不動産流通機構

Ⅱ 近畿圏中古マンション流通レポート

出典:(公社)近畿圏不動産流通機構

Ⅲ 中部圏中古マンション流通レポート

出典:(公社)中部圏不動産流通機構

Ⅳ 福岡県中古マンション流通レポート

出典:(公社)西日本不動産流機構

Ⅴ 貸家着工戸数状況(東日本)

出典: 国土交通省

Ⅵ 貸家着工戸数状況(西日本)

出典: 国土交通省

Ⅶ 金利の推移

出典:財務省住宅金融支援機構

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書

「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

レギュラー出演

ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

公式サイト

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