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TSUGITE 第9号 2017.2月発行

第9号の特集は「地震が頻発している、今だからこそ知りたい!賃貸マンションの防災対策」です。防災力を高める取り組みや地震発生時の行動についてご紹介します。その他、松建設100周年特別企画、「100年ブランドが繋ぐもの 万年筆」を試し読み。

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100年ブランドが繋ぐもの 万年筆


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ある人は、究極にわがままな文房具だという。またある人は、指の一部であり、無二の親友だという。
万年筆には、「選ぶ・持つ・使う・育てる」というすべての行為に喜びがつまっている。
約100年前に産声をあげた日本の万年筆は、その長い時間の中で、一体なにを繋いできたのだろう。

たった一本の人生の友をさがす旅


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明治の終わり頃、口髭をたくわえた一人の男が、東京の片隅にある書斎で人生初となる小説に取り掛かろうとしていた。男はしばらく逡巡したあと、目の前の原稿用紙に「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」とペンを走らせた。

今でも多くの人々に読み継がれている夏目漱石の小説。その多くは、当時輸入され始めたばかりの舶来の万年筆によって書かれている。しかし、漱石もいきなり満足のいく万年筆に出会えたわけではない。初めて買ったデ・ラ・ルー社のペリカン万年筆とは相性が悪く、どれほど手を焼いたかをユーモラスに綴った随筆も残っている。万年筆は名のある品であれば良しというものではなく、手の大きさや握り方、書き癖などによって相性があるため、誰かにとっての名品が自分にとっての名品だとは限らない。だからこそ、探し、選ぶことも楽しみのひとつになるのだ。

漱石が海を渡ってきたペリカンと格闘していた頃、のちに並木製作所(パイロット社の前身)を創業する並木良輔は、「並木式烏口」なるものを開発し特許を取得する。烏口は建築物や機械の図面を引く時に使うペンだが、細い筆やスポイトにインクを含ませ、それを烏口の刃の内側に当ててインクを移すという、使いこなすには慣れが必要な代物。並木が教授を務めていた商船学校の学生が烏口の扱いに苦労しているのを見て、ペン軸にインク貯蔵部を持つ烏口を開発したのだ。

これに端を発し、並木の探究心はより多くの人が使う万年筆へと向かい、舶来品に負けない国産の万年筆製造に情熱を燃やしていく。そして、1918(大正7)年に純国産の万年筆をつくり上げ、並木製作所を創業。さらに、わずか8年後には海外進出まで果たしてしまう。この頃、日本各地でも万年筆製造は大きな盛り上がりをみせ、数多くの万年筆メーカーが誕生している。現在、パイロット社と共に日本3大メーカーと呼ばれているセーラー万年筆やプラチナ万年筆も、この時期の創業だ。

今や世界トップレベルの品質を誇る日本の万年筆だが、黎明期から一番進化したものは何か。答えは、万年筆の命であるペン先の製造技術に他ならない。矢のような独特の形、ペン先に走る切れ込み、ペンポイントと呼ばれる先端の小さな球。その内どこかが数ミリ違うだけで、万年筆の書き味は大きく変わってしまう。いわば、ペン先は全身が書き味そのものなのだ。特に日本語は、止めや払いなど複雑で繊細な筆遣いを必要とするため、加工技術がそれほど発達していなかった大正時代から、数え切れないほどの職人たちが理想の書き味を求めて製造技術に磨きをかけてきた。そして、磨かれた技術は次の世代へと引き継がれ、その世代がさらに磨きをかけていく。連綿と続くこの研鑽と継承があったからこそ、現在のような滑らかな書き味が生まれたのだ。

万年筆は使い込むことで、摩耗によりペンポイントが少しずつ形を変えていき、ペン先のしなり具合もこなれてくる。書き手の個性がゆっくりと万年筆に染み込んでいき、その人だけの一本へと育っていくのだ。だから、使い込むほどに書き味は良くなり、手にも馴染んでくる。そうなると、ますます万年筆を使うのが嬉しくなり、ますます万年筆への愛情は深まっていく。作家の開高健が人生の友として何十年も愛用していた万年筆はモンブランだが、氏いわく「もはや指の一本」と化しており、何かのはずみで見当たらなくなると「不安で不安でジッとしていられなかった」らしい。これほどの溺愛ぶりは、万年筆と同棲しているような作家ならではのものだが、付き合えば付き合うほど、どうしようもなく魅せられていくのは、万年筆を使う者にとってはもはや周知の事実だろう。

伝える手段は、時代と共に変化していく。近年では特に携帯電話の登場によって、いつでも・どこでも・すぐに伝えられるようになった。それに比べて万年筆は、なんと不便なことだろう。しかし、その不便さの中にこそ、「書く」という行為の本質があるように思う。長い時間を共にした万年筆で書いた文字には、鉛筆よりも個性や感情が宿り、ボールペンよりも温かみを感じる。単に情報を伝えるのではなく、想いを人から人へと繋げていく力があるのだ。

まだ万年筆を手にしたことのない人は、とても幸せな人だといえる。万年筆という素晴らしい友に初めて出会った時の喜びを、友情を育んでいく楽しさを、これから味わえる人なのだから。

日本3大万年筆メーカー

セーラー万年筆株式会社

1911年(明治44年)創業

株式会社パイロットコーポレーション

1918年(大正7年)創業

プラチナ万年筆株式会社

1919年(大正8年)創業


地震が頻発している、今だからこそ知りたい!賃貸マンションの防災対策


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まずは、正しい知識を!「事前防災」と「事後防災」

地震は、いつ起きるかわかりません。だからこそ、もしもの時に備えて、正しい知識を身につけておくことが大切です。
防災対策には、「事前防災」と「事後防災」の2種類があります。防災と言えば、防災グッズなどを備えることだと思われがちですが、それは地震後に使う物の備え「事後防災」でしかありません。被害を最小化するための事前の備え「事前防災」をおろそかにすると、いざ地震が来た時に大惨事を招いてしまうかもしれません。

地震時は家具が凶器になる!?

地震時の負傷の多くは、転倒・落下してきた家具が原因だと言われています。まず事前防災でやっておくべきなのが、この家具の固定。天井との間に突っ張り棒を設けたり、隙間なく箱を積むことでも、転倒防止の効果があります。また、避難経路の確保のために「扉付近には家具を置かない」、下敷きにならないために「寝室には背の高い家具を置かない」といった配置も重要なので、入居者様にも対策を促しましょう。

オーナー様と入居者様それぞれが備えるべきもの

事後防災の取り組みとしては、水や食料をはじめとする備蓄品の準備がありますが、入居者様の備蓄にも限界があります。オーナー様がサポートすることで入居者様に喜ばれる備蓄は、やはり生活用水です。受水槽があるマンションなら、貯水されている水を入居者様のために開放できるので、事前に水抜き用のバルブの位置を確認しておきましょう。同時に、入居者様には、最低限の備蓄品を各自で準備するように促しましょう。

入居者様に最低限の備えを促そう!
被災者が本当に役立った防災アイテム
  • □ 飲料水 3日分(1人1日3ℓ)
  • □ 非常食 3日分(アルファ米、乾パン、板チョコなど)
  • □ カセットコンロ&ガスボンベ
  • □ 簡易トイレ
  • □ 懐中電灯
  • □ 携帯ラジオ
  • □ 各個人特有のもの(メガネや服用薬など)
  • ※薬については主治医への相談が必要です

マンションと入居者様を守るために!防災力をさらに高める取り組み

事前防災

安全に避難するために 普段からの設備点検

避難経路に物が置かれていないかのチェックや火災報知器・消火器の定期点検も忘れずに。

スムーズに対応するために 災害時の段取り確認

災害時の管理会社との連絡網や、連絡がつかない場合の段取りについて事前に確認しましょう。

耐震診断の実施

旧耐震基準(昭和56年5月以前に着工)の建物は、耐震性能を調査しましょう。

高松建設の取り組み:鉄筋コンクリート造を建築基準法の1.15倍の耐震設計
防水板の導入

津波などによる浸水を防ぐために、エントランスやエレベーター前に導入を。

高松建設の取り組み:ライフラインの確保や生活への備えなどさまざまな災害対策をご用意

事後防災

入居者様のために 防災備蓄品の準備

災害時、特に重要になってくる、ライフラインや情報、建物の処置に関するものを準備しましょう。

  • 【ライフラインの確保に】飲料水/発電機・燃料/簡易トイレ
  • 【救助用に】バール
  • 【情報共有に】ホワイトボード/模造紙
  • 【建物の応急処置に】ベニヤ板/ブルーシート
注目!最新防災アイテム
  • 緊急地震速報 受信端末
    携帯電話やテレビよりも地震速報を早く受信でき、建物内の放送設備に接続して自動放送することも可能。
  • スマホ用の防災関連アプリ
    防災情報をまとめた便利なスマホ用アプリが、行政やNHKから無料でリリースされています。
  • 水で発光するLEDライト
    電池も、手回し発電機のような発電作業も不要。水につけるだけで長期間点灯する小型ライトです。
  • エレベーター用 防災椅子
    普段は椅子なのに、災害時には非常用トイレに早変わり。水や懐中電灯などの非常用物資も収納されています。

巨大地震発生!その時オーナー様ができるコト すべきコト


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いざ地震が発生した時、オーナー様はどう動くべきか。
発生直後から、救助や支援の本格化が期待できる3日目までを
自助・共助・公助の観点から時系列で見ていきましょう。

※取るべき行動の順番や内容は、被害状況によって異なってきます。慌てず冷静に状況を判断して、臨機応変に対応しましょう。

オーナー様とご家族の安全確保自助

地震発生
  • 自身の安全と避難するための出口の確保
    まずは、机の下など身を守れる場所へ。揺れがおさまったら、ドアを開けて出口を確保。
  • 火災の有無と被害状況の確認
    火が出ていれば、あわてず初期消火を。家の中の被害状況を確認。
  • 家を出る時はブレーカーを落とし、ガスの元栓を閉める
    停電から復旧した際に起こる通電火災や、ガス漏れによる火災を防ぐために徹底を。
2日目
  • 在宅避難しながら、経過を見守る
    自治体や報道機関からの正確な情報を収集し、デマなどに惑わされないように。
3日目以降
  • 必要があれば避難所へ
    避難指示などで、在宅避難できない場合は避難所へ。
防災MEMO
福祉避難所の位置を事前に確認
福祉避難所とは、一般の避難所では生活に支障を来す人、つまり介護の必要な高齢者や障がいのある方のための避難所のこと。要援護者に配慮したトイレや手すり、仮設スロープなどがあります。周囲にこのような人がいる場合は、事前に位置を確認しておきましょう。
初期消火が被害拡大を抑える
阪神・淡路大震災での死因の約10%は、焼死だったといわれています。火が小さなうちにバケツやマンションにある消火器で初期消火することが、後々の被害を防ぐことにつながります。ただし、身の危険を感じたら直ちに避難を。

オーナー様と入居者や地域との助け合い共助

地震発生
  • 管理会社と連絡を取りお互いの状況や動きを共有
    事前の取り決めが、円滑な行動を生みます。
  • マンションの被害状況を確認
    管理会社も急行しますが、オーナー様がお住まいの場合は建物のチェックを。
  • 入居者様や近隣の状況確認 救助などの助け合い
    周囲の人が無事か確認して、救助が必要な場合は協力しましょう。
2日目
  • 掲示板を開放したりホワイトボードを設置する
    入居者同士の情報交換の場となり、自然と共助の体制が生まれます。
3日目以降
  • 管理会社からの報告を受ける
    管理会社が建物の状況を確認・整理しオーナー様へ報告します。
防災MEMO
地震保険も重要な防災
東日本大震災を機に付帯率が増加し、2015年の地震保険付帯率は全国平均60.2%にまで達しました。地震による火災は、地震保険でしか補償されません。津波による損壊や家財の破損なども補償対象になるため、震災後の生活を支える重要な防災対策だといえるでしょう。
※付帯率…火災保険に地震保険が付帯されている割合。地震保険は単体契約は不可で、火災保険とのセット契約が必要。

行政による救助・支援公助

地震発生
  • 消防による消火活動や警察、自衛隊の救助活動が始まる
2日目
  • 避難所が開設される
防災MEMO
地震直後は、公助よりも自助・共助が頼り
阪神・淡路大震災で、瓦礫の下から救出された人の数は、近隣住民による救出が約2万7千人、消防・警察・自衛隊による救出が約8千人。自助・共助が、いかに大切かを物語る数字です。地震直後は「自助9:共助1:公助0」ともいわれています。公助だけに頼らず普段から防災意識を高めましょう。
開設は行政、運営は住民
「とにかく避難所へ行けば、行政が面倒を見てくれる」という認識は間違いです。行政がやってくれるのは、あくまで避難所の開設と支援。運営自体は地域住民によって行われます。行政機関が被災していれば、開設もすぐにはできないため、住民による開設・運営マニュアルが用意されている地域もあります。
執筆・監修
監修:地震防災アドバイザー・防災士
木村郁夫

掲載内容は2017.2月発行時点のものです。
時間経過による掲載内容の変化は保証できませんのであらかじめご了承ください。
内容についてお確かめの場合は、【0120-53-8101】へお問い合わせください。

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