- 髙松建設不動産市況レポート
2023年8月 髙松建設不動産市況レポート
2023年8月中旬の株式相場は7月に比べて1,000円近く低い水準が続いています。また、長期国債金利は徐々に上昇傾向がハッキリして、0.6%を超えてきています。今後はもう少し上昇することが予想されています。
8月お盆前には、中国大手デベロッパーである恒大集団が米国において破産の申請をしました。中国主要都市70都市のうち7割に当たる49都市で、7月の新築住宅販売額が下がりました。中国の不動産・住宅バブル崩壊のキザシが見え始めてきたことで、日本への影響が心配されます。
TOPICS① 不動産ローンの過熱と今後の行方
日銀が発表する「個人による貸家業」によれば、設備資金新規貸出(=不動産投資ローンやアパート建築ローン)は、2023年4月~6月期まで9四半期連続で増加しています。
「個人による貸家業」への設備資金新規貸出額の推移

日本銀行資料より作成
不動産投資ローンは日銀による異次元の金融緩和が行われ始めた13年頃から増え始めました。不動産投資熱が高まっていたことに加え、相続税制変更に伴い、相続時などの節税効果が見込めることなども背景にありました。
しかし、16年以降、日銀や金融庁が地銀のアパートローン増加を指摘するようになりました。投資用不動産向けの融資に対する監視が強化される動きの中で、2018年に某地方銀行がシェアハウス物件を巡る不適切融資で業務改善命令を受けたことをきっかけに、各銀行は融資姿勢をより厳しいものにしていきました。
そこで不動産投資ローンの新規貸出額も減少を続けていましたが、2021年4-6月期以降、新型コロナウィルス感染拡大を受け個人の不動産投資への関心が高まったことで、不動産投資ローンの貸出総額も増えています。そして、不動産投資への過熱感から投資用不動産価格の高騰も続いています。
今後の不動産投資ローンの動向に関しては、やはり「金利」がキーワードとなりそうです。
国債(10年)・フラット35・賃貸住宅融資の金利推移

住宅ローンの固定金利は長期国債金利に連動し、前月の中旬から下旬の長期金利をもとに決めるのが一般的です。
グラフは2009年からの10年国債とフラット35、賃貸住宅融資の金利推移です。固定金利であるフラット35と賃貸住宅融資は、長期金利とほぼ同じような動きを見せています。
今回の日銀の決定で、長期金利の上昇が予想されます。実際に決定の翌営業日の7月31日には、一時、国債10年ものの金利は0.605%まで上昇し、2014年6月以来およそ9年ぶりの水準となりました。一方で多くの人が選択する変動金利については、短期金利に連動するため今回の決定による影響は少ないと見られます。不動産投資家にとって、日銀の決定は収支に関わり非常に重要です。今後とも注視していく必要がありそうです。
TOPICS② 不動産投資家にとって実は重要なデータ!?「投資用マンションの供給エリア」
不動産投資熱が過熱する裏で、投資用マンションの供給状況も変化を見せています。
下図のように投資用マンション価格は上昇を続けており、2022年の平均価格も3,284万円と前年から152万円上昇しています。2009年と比べると、平均価格は961万円ほど上昇しています。
首都圏投資用マンション平均価格・平均㎡単価の推移

株式会社不動産経済研究所「首都圏投資用マンション市場動向」より作成
次に供給エリアを見ていきましょう。2022年に投資用マンションの供給があったのは全34エリアで、最も多かったのが大田区の675戸で2017年以来5年ぶりの供給トップとなりました。2位は江東区(617戸)、3位は横浜市南区(566戸)で、2021年集計で初めて5位以内にランクインし、昨年も3位でした。4位は墨田区の430戸、5位は411戸の板橋区でした。
供給エリアにも変化が見られます。
首都圏投資用マンション供給戸数上位5エリアの変遷

株式会社不動産経済研究所「首都圏投資用マンション市場動向」より作成
2009年以降、江東区は2012年を除いて全て供給戸数が5位以内です。今年1位だった大田区は2014年までは1位や2位が続いていましたが、最近は以前ほどの大量供給はありませんでした。また、近年では神奈川県内エリアのランクイン目立ち、この傾向は今後も続くと見られます。
実際に、当調査で発表された2023年上期(1-6月)時点の供給戸数の上位5位中、4位の江東区以外、全てが神奈川エリアという結果でした。1位は415戸の横浜市南区で、2位は312戸の横浜市中区、3位は185戸の横浜市神奈川区と、上位3エリアは全て横浜市となっています。4位は江東区(181戸)、5位川崎市中原区(170戸)という結果です。
東京都心が用地不足や地価が高騰していることから、今後も引き続き横浜市や川崎市などのエリアで投資用マンション供給が増えると考えられます。賃貸住宅を選ぶ人にとっては「大量供給エリア」は新築・築浅賃貸マンションの選択肢が増えますが、貸し手にとっては競合が増えるということでもあります。投資用マンションの供給エリアに関するデータは、不動産投資をする方は注目すべきデータと言えそうです。
定点観測データ
Ⅰ 首都圏中古マンション流通レポート

Ⅱ 近畿圏中古マンション流通レポート

Ⅲ 中部圏中古マンション流通レポート

Ⅳ 福岡県中古マンション流通レポート

Ⅴ 貸家着工戸数
出典:国土交通省

Ⅵ 金利の推移

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