- トレンド
2050年までの世帯見通しと変化する賃貸住宅需要
すでに日本では人口減少が続いています。その一方で世帯数は、一貫して増え続けており、今後も増え続ける見通しです。世帯数は、住宅需要に最も大きな影響のある要因でしょう。そのため「人口が減っても、住宅需要は安泰」と思われがちですが、確かに世帯数が増えれば住宅需要にはプラスに働きますが「世帯類型の変化」により「求められる住宅に変化」が起こる可能性が高くなることには注意が必要です。
今回は、5年ぶりに国立社会保障・人口問題研究所より公表された「日本の世帯数の将来推計(令和6年版)」を元に、我が国の世帯数や世帯の類型の将来像とそれに伴う住宅需要の変化について考えます。

将来推計とは
国立社会保障・人口問題研究所が5年に一度、人口と世帯数について将来推計を行っています。5年毎に行われる国勢調査に基づき、その数年後に推計を公表するということです。将来推計は通常、国勢調査から約3年後に、①全国の人口→②都道府県別の人口→③全国の世帯→④都道府県別の世帯数 の順に推計結果が公表され、今回は③が発表されたということになり、④の都道府県別の世帯数の将来推計は、今年の後半に公表されるようです。
世帯数のピークは大きく後退
前日のように将来世帯推計は5年毎に公表されますが、推計のたびに少しずつズレが生じています。前回(2015年の国勢調査に基づく2018年推計)の将来推計では、世帯数のピークは2023年頃で5419万世帯とされていました。しかし実際は、推計よりも世帯数は大幅に増加し、2020年の国勢調査では5570万世帯となっていました。そして最新の推計では、世帯数は今後も増え続け、ピークは2030年頃で5773万世帯となっています。
下図に示したように、過去の3回の推計を振り返ってみれば、総世帯数は、推計以上の数字となっていることが続いています。その最大の理由は「単独世帯」の予想以上の増加にあるようです。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(2014・2019・2024年推計)」より作成
すでに、そして今後も最も多い世帯類型は単独世帯
単独世帯(1人暮らし)は1980年の時点では19.8%でしたが、2020年には38.0%に急増しています。1980年時点では総世帯数3528万世帯のうち単独世帯は71万世帯だったのが、2020年の国勢調査では総世帯5570万世帯のうち211万世帯となっています。この40年間で総世帯数は1.55倍ですが、単独世帯は2.98倍となっており、単独世帯の実数は約3倍になっている計算です。
また、1980年には「夫婦と子」世帯は42.1%で最多類型でしたが、2020年時点では25.2%と約17ポイント減少しました。
それまで最も多い割合だった「夫婦と子」世帯でしたが、単独世帯が最多類型となったのは2010年の国勢調査の時で、それ以降割合で見れば「夫婦と子」世帯は減少し、「単独世帯」は増え続けています。我が国では、すでに20年以上も前から最も多い世帯類型は単独世帯ということになります。
そして、将来推計ではこの傾向はさらに顕著となり、今回の推計で最も先である2050年には、単独世帯が全世帯の44.3%、夫婦と子世帯は21.5%となり、一段と世帯の「単独化」が進んでいくことになります。
単独世帯増加の要因として、未婚化・晩婚化が進んでいることがあげられます。生涯未婚率(50歳時点未婚率)は2020年の国勢調査では男性28.3%、女性17.8%となり、近年急上昇が進んでいますが、これがさらに上昇する見通しのようです。
別の角度から見ても、小世帯化は進んでいます。世帯の平均人員は、一貫して減り続けおり、1980年代は3人を超えていましたが、2020年には2.21人となっていました。今後も一貫して減り続け、2033年には初めて2人を下回り、2050年以降は1.92人にまでなる見通しです。
先に述べたように、都道府県別の世帯数将来推計は出ていませんが、このような単独世帯増加が続く傾向は都市部だけでなく、地方でも同様の傾向と思われます。
単独世帯が増えれば、賃貸住宅需要は増える
最新の2020年国勢調査によれば、全国では単独世帯の63.7%が賃貸住宅(民営・公営)に住んでいます。これを都市部でみれば単独世帯の7割前後にまで上昇します。髙松建設の建築実績の多い都市部で見れば、例えば、東京23区では単独世帯のうち74.1%が、大阪市では76.1%、名古屋市では75.5%、福岡市では83.4%の世帯が賃貸住宅に住んでいます。
このように考えると、将来にわたり単独世帯の増加が見込まれるということは、賃貸住宅需要が増える、あるいは安定しているという可能性が高いと言えるでしょう。
都市部は広めの単身用賃貸住宅の需要が増える?
将来世帯推計で単独世帯が増える大きな理由として、未婚化・晩婚化を挙げましたが、この傾向は止まらないと思われます。とすれば、都市部においては比較的年収の高い未婚の40・50代以上の方が増えることになります。その一方で、出生数低下により若年層(15歳以下)人口は減っています。
これまで、都市における賃貸住宅需要は、学生や20~30代の需要がメインでした。そのため、部屋はワンルームタイプが中心でした。しかし、ここまで述べたように世帯のあり方や世帯構成が変われば、単身用の広めの部屋、つまり35~50㎡程度のコンパクトタイプの賃貸住宅需要が高まるものと思われます。
- #世帯数見通し
- #賃貸住宅
- #資産運用
- #世帯数
- #賃貸住宅需要
- #賃貸経営
- #土地活用










