建物・土地活用ガイド

2023/08/28

ZEH仕様で建築された集合住宅は増えているのか?賃貸マンションでの優位性はあるのか?

ZEH仕様の賃貸用住宅が増えてきました。
ハウスメーカーの中には、「今後建てる集合住宅はすべてZEH仕様にする」と宣言する企業も現れ、あと数年もすれば「ZEH仕様住宅はあたりまえ」という時代になるのかもしれません。
では、ZEH仕様の賃貸住宅(賃貸マンション)は、どれくらいの優位性があるのでしょう。

ZEH仕様のマンション

ZEH仕様のマンション(=ZEH−M)は、国(国土交通省・経済産業省・環境省)の定めた適合基準を満たした物件です。
仕様の枠組みは
@ 高断熱化
A 設備品の高効率化(@Aは省エネルギー)
B 創エネルギー

の3つを実現することで1年間に消費するエネルギーを±ゼロ以下にする、というものです。適合状況により4つのシリーズに分類されます。

詳しい説明は、ZEHに関する記事「ZEHマンションとそのメリットは?」をご覧ください。

ZEH−Mはどれくらい普及してきているのかを数字で実感

ZEH仕様の集合住宅(ZEH−M)はどれくらい普及しているのでしょう。22年分は未発表のため(23年7月末現在)、21年分のデータを見てみます。

ネット・ゼロ・エネルギーハウス実証事業 調査発表会2022(経済産業省 資源エネルギー庁:実施日2022年12月2日)資料によれば、2021年中に建築された(供給された)集合住宅のうち戸数ベースで7.4%がZEH−M仕様(全シリーズ合計)です。
シリーズ別割合で見ると、棟数では、ZEH−Mが14%、Nearly ZEH−M が59%、ZEH−M Readyが3%、ZEH−M Orientedが24%となりました。戸数では、ZEH−Mが4%、Nearly ZEH−Mが22%、ZEH−M Readyが6.5%、ZEH−M Orientedが67%となっています。
21年は、一部ハウスメーカーが積極的に推進、マンションデベロッパーではトライアル的に導入する例が多く、建築会社も同様にトライアル的な建築が目立ちました。そのため実績はまだ10%未満となりました。しかし22年に入り、ZEHそのものが浸透してきたこと、そして集合住宅建築主へも広がりを見せてきていること、集合住宅建築を請け負うハウスメーカーや建築会社、ゼネコンが推進していること、などから22年は飛躍的に伸びているものと思われます。

ZEH仕様の賃貸マンションのメリットとデメリット

22年の時点では、なぜZEH−Mが進んでいなかったのでしょう?
前述の発表会資料(2021年の調査)では、ZEHビルダーが自社目標をなぜ達成できなかったかについての調査結果も報告されています。
大きな理由として挙げられているのは以下の3点です。

@ 顧客の予算
A 顧客の理解が得られない
B 体制不備

このうち、Bについては先に述べたように、すでに多くの建築会社において体制が整ってきていると思われます。残るは「顧客の価格と意義についての理解」をクリアにすべきなのでしょう。

国の支援策

賃貸マンション建築を投資として、ZEH仕様にするメリットは以下のような点があげられます。

@ 創エネルギーにより産み出された電気などのうち、使わなかった分を電力会社に売電することによって収益があがる
A 各種補助金が得られる

(時期により、金額や内容が異なります。経済産業省資源エネルギー庁のサイトなどをご確認ください)
B 入居者メリットをしっかりと訴求すれば、賃料増、空室率低下、高稼働につながり、賃料収入がUPする可能性が高い

一方、デメリットは

@ 価格が割高
A 全ての建築会社で対応できるわけではない

といったあたりですが、なんといってもネックになるのがコスト面でしょう。

デメリットを解消するために

デメリットであげた2つ目については、すでに多くの企業で対応できるようになっており、ZEH仕様が当たり前になれば、生き残りをかけて各社で対応可能になるでしょう。
コスト面に関しては、昨今ZEH仕様だけでなく、あらゆる構造の建築コスト・工事費が上昇しています。さらに2024年問題と言われる労働者の働き方改革が建築業界にも適用され、労働力(職人)不足が一段と厳しくなることから、工事費上昇の可能性が指摘されています。

このような背景から、ZEH−Mの一層の浸透の為には
@ 補助金制度のさらなる拡大
を図りつつ、
A 建築業界内での「ZEH−Mが当たり前化」の推進
B 建築主の意識改革

が必要でしょう。

ABは徐々に浸透してきていますので、あとは@に期待したいところです。
23年〜24年の実績がかなり増えれば、「当たり前化」に大きく近づくことになると思います。

松建設はZEH・ZEBの建築にも対応いたします。
ZEH・ZEB基準のマンションやビルなど、どうぞ気軽にお問合せ下さい。

ご相談フォーム  : https://www.takamatsu-const.co.jp/contact/
お電話でのご相談 : 0120-53-8101(フリーダイヤル)

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

疑問に思うこと、お困りごとなど、まずはお気軽にご相談ください

  • ご相談・お問合わせ
  • カタログ請求

建築・土地活用ガイド一覧へ