建物・土地活用ガイド

2023/02/21

必読!長期で考える賃貸物件建築で重要な視点

個人オーナー様や企業様が、遊休地の活用や高効率利用のために賃貸物件を建築し賃貸経営を行う際に気になることは、なんといっても建築費のことでしょう。
物価上昇が続く中、どんな工法の建築においても建築費は高騰が続いています。そのため、「少しでも安く」と考えるのは必然かもしれません。

しかし、安い賃貸物件を建てて入居者(あるいは入居テナント)集めに苦戦するなどの例も見られます。
今回は、賃貸物件建築費用と安定運用について考えます。

賃貸物件建築計画における重要な視点

賃貸物件を建築する際に、「建築費が安い物件は高い物件に比べて本当にオトクなのか」を考える時には「長期視点で考えること」を肝に銘じてください。
賃貸物件建築計画を立てる際には建物イメージ、建築費の見積もり、そして収益計画(シミュレーション)等を受け取り検討します。その際、まず「建築費が高いか安いか」そして「収益が良いかどうか(投資利回りがよいかどうか)」を確認する方が多いでしょう。
ですが、建築計画時点だけの費用・利回りで建築を進めると、後で「計画通りに行かない!」と嘆くことになりかねません。5年や10年で売却すれば別ですが、賃貸用物件の運営(経営)は一般的には35年以上の長期スパンになります。ここがポイントなのです。

建物の重厚感と入居率は20年目から差が付く!

貸物件は、入居者(あるいは企業)に選ばれる物件であることが求められます。選ばれるための比較ポイントは(立地が同一条件ならば)
@建物の重厚感や外観
A間取りの効率性
B工夫された外溝
※賃貸住宅、賃貸オフィス・テナントに共通した項目です。

などが入居率に影響します。

特に建築費の観点で言えば@には大きな差が生まれます。プレハブで建てた賃貸住宅とRC造の賃貸住宅では見た目の重厚感が大きく違いますが、建材や構造が違うためその分建築費にも差があります。鉄筋コンクリート造と木造では耐用年数に大きな差があり、劣化する速度も違います。
Bにおいても、駐車場や駐輪場のみで植栽などを何も施さない外溝ならば安く仕上がりますが、お金をかけた外構にすれば、例えば植栽(樹木)が成長を重ねるごとに潤いや安らぎ、高級感を演出してくれます。

建築後5年くらいまでは新築プレミアムもあり入居者が付きやすく、周辺の家賃相場より高すぎなければ想定通りに確保できるでしょう。しかし、20年を過ぎた頃からは重厚感のある物件と安く仕上げた物件では、特に賃貸住宅では大きな差が生まれます。
賃貸住宅の場合、ほぼすべての入居者がネットなどで条件などを入力した上で物件検索をします。条件に見合う物件を1つ1つ見るわけですが、そこで時間をかけてチェックしているのは外観を中心とした建物の写真です。候補物件の取捨選択をする上で重要なポイントとなる外観は、20年を過ぎれば「はっきりとした差」が生まれます。

想定通りの収益が得られない?

重厚感のある物件、つまりRC造などで建てられた物件の優位性が際立ってくるのは、新築時ではなく築20年が経ってからです。
建築計画時に立てた収益シミュレーションは、経年にともなう空室率や家賃の下落が加味されているかと思います(ときどき一定のものもあるようです)。
年数を経ると、経年劣化によりひび割れや変色・痛みが出てきた建物は競争力が低下し、この想定を大きく下回ることもあるようなので、注意が必要です。

生涯建築関連コストの観点

最後に重要な視点が「物件の生涯コスト」という考え方です。
「新築時に建築費を抑えたが、結局修繕や改修、地震などによる被害などで35年間にかかった建築関連費用はかなりの金額になった」という例は多いようです。
どんな建物でも維持管理コストがかかります。外観を形成する外壁や屋根なども、一定期間ごとに修繕工事が必要ですが、こうした費用は物件ごとに大きくことなります。
新築時に劣化しにくい仕様にしたり、先々のメンテナンスを考えた仕様にすることで建物は長持ちし、見た目にも良好な状態を保つことができます。

メンテナンスコストのかかりにくい建物を建築すれば、長期で見た時の建築関連総額を抑えることができます。
新築時には建築見積に加えて、築後35年に必要な修繕費用の想定※も合わせて提出してもらいましょう。

※災害などによる修繕費用は入りません。また、耐震性や災害対応などは各社によって異なりますのでご注意ください。
 松建設で建築をお考えの方は下記ページをご覧ください。
長寿命化の取組み
https://www.takamatsu-const.co.jp/construct/approach/long_life/
松建設の基準
https://www.takamatsu-const.co.jp/construct/strong_point/standard/

高松建設では住む人、働く人、そしてオーナー様の将来を考えた建物をご提案します。ぜひ気軽にお問い合わせください。
ご相談フォーム  : https://www.takamatsu-const.co.jp/contact/
お電話でのご相談 : 0120-53-8101(フリーダイヤル)

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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