TSUGITE 第7号 2016.6月発行

Vol.7の特集は「これだけは押さえたい!マンションの長期経営 未来マップ」です。マンション経営で大事なのは、「価値の維持」と「価値の付加」。経過年数ごとにどのような対策やケアができるのかご紹介します。
※TSUGITEは松建設で建築いただいたオーナー様向けの情報誌です。WEBでは誌面の一部を公開しています。

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コレだけは押さえたい!マンションの長期経営 未来マップ


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大切なのは「価値の維持」と「価値の付加」

マンション経営は長期にわたる事業ですが、時間の経過とともに建物は劣化が進み、設備に対する時代のニーズも変化していきます。建築当初は最新鋭設備の人気マンションであったとしても、何も手を掛けずにそのまま放置すれば、入居率は徐々に悪化していくことにもなりかねません。人間が年齢に負けない健康な体を維持するためには、病気の予防や適度な運動といった体のメンテナンスが大変重要ですが、建物についても同じことが言えます。劣化を防ぎ入居率を維持するマンションにするためには、計画的な修繕・メンテナンスによる「価値の維持」と時代のニーズに合った設備更新やリノベーションによる「価値の付加」が必要不可欠となるのです。

適切なタイミングで適切な修繕を

例えば、階段の手摺の鉄部の塗装の内側にサビが発生していたとします。もし、修繕費を惜しんでこれを放置すれば、サビは徐々に広がり内部深くまで腐食が進行していきます。初期段階で迅速に対応していれば再塗装により修復可能ですが、内部深く腐食が進行してしまっては、もう元には戻りません。建物の管理においては、適切なタイミングに適切な修繕・メンテナンスを施すことが重要です。これを怠れば、たとえ一時的に修繕費が浮いたとしても、結果的にさらに高額な費用が掛かってしまうケースが多いのです。


マンションも、私たちと同じ。年齢ごとの、ケアが大切です。


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人間には寿命があり、年齢を重ねるごとにライフステージが変化します。健康を維持するためには年齢に合った適切なケアが求められますが、建物についても同様です。健全なマンション経営を続けるために、オーナー様は、それぞれのステージで何をすべきか?何に注意するべきか?右記の表でしっかりと確認して行きましょう。

第1ステージ 竣工〜築10年頃新築の状態、入居満足度を維持し、次の10年への準備期間に。

新築の時期は空室の心配も少なく、家賃も高く設定できるため、経営上ゆとりのある黄金期と言えます。経年とともに徐々に鉄部塗装の劣化などが始まりますが、日常的な管理さえきちんとしていれば、建築後10年間は建物自体の修繕はほとんど必要としません。しかし、油断は禁物です。小さな劣化も放置することなく、しっかりとメンテナンスを行い、できるだけ長く新築の状態を維持しましょう。また、このようなゆとりのある時期から、しっかりと修繕積立金を貯めていくことも重要です。なお、給水ポンプや給湯器については10年を過ぎると徐々に不具合が出はじめますので、迅速な修理・取り替えを行い、入居満足度の高い管理を心掛けましょう。

第2ステージ 築10年〜築20年頃マンション経営の正念場だからこそ攻める姿勢が不可欠。

この時期には初回の大規模修繕が終了し、初期の積立金も既に大幅に減少しています。さらに、建物・設備の劣化も色々な部分に生じ、修繕の波が次々と押し寄せてきます。新しい物件に比べて競争力も低下し、まさしくマンション経営の正念場となります。また、賃貸市場のトレンドの変化により、建築当時は「無くても問題ない」設備でも、この頃には「あって当たり前」の設備に変わっていることがあります。時代とともに入居者様のニーズは変化するため、設備の導入や交換についても気を配らなければなりません。特に水回りなどについてはいつの時代も入居者様は高い関心を寄せている部分ですので、オーナー様は意識しておくべきでしょう。守りに入らず、攻めの姿勢で積極的に投資を行い、資産価値を高め、入居者様から選ばれるマンションにすることが長期経営の鍵となります。

第3ステージ 築20年〜築30年将来的なマンション経営、費用対効果を見据えた計画を。

築30年頃には、経年により外壁の著しい劣化や鉄部の腐食の補修、エレベーターの交換など、修繕に掛かる費用は当然ながら増加します。ただし、適切なメンテナンスをしているマンションと、そうでないマンションでは、建物の状態に大きな差がついているのは言うまでもありません。また、この頃にはローンが完済し、資金的には比較的余裕があるオーナー様も多いと思いますので、税金対策として改修工事を行うのも一つの手でしょう。この時期に意識しておきたいのは、将来的なマンション経営のビジョンです。リノベーションを施し、この先10年、20年と健全に経営が続けられる状態にするのか、建物を解体して建て替えるのか、それとも資産の組み換えをするのか、費用対効果やご自身のライフプランニングを考慮し、早めに考えておくことをおすすめします。

築年数に応じて行う「維持管理」と「設備の配慮」

健全なマンション経営を実現するためには、築年数に応じて実践しなければならないことが2つあります。まずは、建物を正常に機能させることを目的とした「維持管理」です。建物が健康な状態でなければ、マンション経営は成り立ちません。適切なメンテナンスを施し、収益を上げられる状態を維持しましょう。次に、入居者獲得を目的とした「設備の配慮」です。当然のことながら、設備は時代と共に新しくなっていきます。常に入居者様のニーズやトレンドの設備を押さえておきたいものです。築年数に応じ、その時々の家賃の設定状況や入居状況にもよりますが、必要に応じて設備の更新を行ってください。この2つを確実に実践することで、建物は健康な状態を維持でき、また、入居者様からも選ばれる価値の高いマンションとなるのです。なお、オーナー様は常に入居者様の声や時代のニーズに敏感であるべきであり、確かな情報や知識が必要です。そのためには、信頼できる管理会社や修繕会社と良いパートナーシップを築き、いつでも気軽に相談できる良好な関係を保つことが重要です。


POINT

建物の劣化は経年と共に徐々に進行していきます。投資を惜しんで適切な修繕を怠れば、老朽化の波に逆らうことはできません。ですが、適切な大規模修繕や時代の変化に合わせてリノベーションを行うことで建物の資産価値は飛躍的に上昇します。

執筆・監修
株式会社パワーコンサルティングネットワークス
代表取締役 谷崎憲一

掲載内容は2016.6月発行時点のものです。
時間経過による掲載内容の変化は保証できませんのであらかじめご了承ください。
内容についてお確かめの場合は、【0120-53-8101】へお問い合わせください。

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