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TSUGITE 第17号 2020.9月発行

第17号の特集は「提案力×技術力で築古物件は育てる時代へ。建物の生涯価値を高める『成長建築』を考える。」です。「建て替えか、再生か」―建物を維持管理していく上で直面する多くのオーナー様の課題を受け、17号の特集では、建物(ハード)と事業(ソフト)の両面から建物の生涯価値を高める「成長建築」についてご紹介します。その他、「建物のある風景」、「想いを築く仕事人」を試し読み。

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提案力×技術力で築古物件は育てる時代へ。建物の生涯価値を高める「成長建築」を考える。

「成長建築」を考える。

「経年良化」という言葉をご存じでしょうか。
一般的には、使い込むほどに魅力を増すという意味で用いられます。時とともに深みを醸し出す、一生ものと言われる製品や景観を表す際に用いられる言葉ですが、建物の価値もまた同じだと、私たちは考えています。
もちろん、躯体や外観デザインの老朽化など、数十年という月日を重ねることは、建物にとってプラスなことばかりではありません。避けては通れないネガティブな課題も含めて、「建物を、育てる」という柔軟な視点で、今という土壌に合わせた「新しい資産価値」を生み出す、松建設グループの「成長建築」。
かつての姿をただ再生するのではなく、ときには建物用途や業態をゼロから見直すことで、その価値を「変化」を超えた「進化」の域へ。新たな息吹が吹き込まれた建物は、若返るどころか、見違えるほどに成長する可能性を秘めています。
「建て替えか、再生か」― 持続可能な社会実現のため、価値あるものをつくり、長く大切に使っていくストック型社会への移行が加速しつつある近年。建物を維持管理していく上で直面する多くのオーナー様の課題を受け、今回の特集では、建物(ハード)と事業(ソフト)の両面から建物の生涯価値を高める「成長建築」についてご紹介したいと思います。

このような課題は、築古建物における成長の伸びしろです。

  • 長くオーナー業で蓄積してきた、経営アイディアや資産への想いを反映したい
  • 築古の佇まいを活かしながら現代のトレンドやライフスタイルに応えたい
  • 地域を熟知した建物として、周辺の人々に還元できる価値を検討したい

「成長建築」を実現する3つの視点

既存の課題を解決し、さらなる成長に臨む

思い切って建て替えるか。それとも再生するか。それは、築古建物をご所有のオーナー様にとって切実な課題です。「周辺に新築物件が増えて、年々賃貸経営が難しくなっている」「老朽化で空室が増え、収益が下がっている」「事業継承を検討しているが、ベストなカタチがわからない」など、たくさんの声が私たちの元にも届いています。今回私たちがお伝えしたいのは、経年に合わせた適切なメンテナンスと、時代に適応した改修によって新たな価値を付加し、建物の生涯価値を高める「成長建築」という考え方。この「成長建築」の大きなポイントは、「価値を引き出す」「時代に応える」「地域に寄り添う」という3つの視点から、建物(ハード)を一新し、長期的な事業(ソフト)の成長までを視野に総合的な価値を再生することにあります。もちろん、古いものを新しくすることは容易ではありません。しかし改修後の建物の物理的耐用年数や事業性評価を明確にすることで、スムーズな資金調達も可能となります。法定耐用年数を超えて今もなお、使用価値を高めている実例も鑑みながら、物件状況、周辺環境、そして何よりオーナー様のお気持ちを踏まえ、私たちだからできるご提案をお届けします。

建物と事業の両面を長期目線で総合的にとらえる「成長建築」

価値を引き出す

潜在的な可能性を見いだし、さらに価値ある建物へと育む。
建築当初の用途のまま利用し続けるのではなく、コンセプトの見直しなどから新たな価値を生む建物をご提案します。

住戸数を半減させゆったりとした室内空間に

■社宅 ■築年数:40年 ■構造・規模:RC造/4階建

課題

築40年になる社宅(福利厚生施設)。老朽化がかなり進んでおり、空室率の高さと今後の活用についてお悩みでした。

構造躯体から見直し、耐震補強を含む全住戸の大幅な間取り改修を実施。住戸数を半減したことで、昔主流だった和室タイプの2DK・3DKから、現代の生活スタイルに合ったゆとりの3LDKへ再生しました。

解決

改修後はすべて満室。解体なども視野に入れていた物件が以前の活気を取り戻しました。

定期借家権を活用し、倉庫を工場へ転換

■倉庫から工場 ■築年数:38年 ■構造・規模:S造/2階建

課題

業績向上により、新たに土地を購入し生産スペースを増設したいと希望されていましたが、なかなか条件が合いませんでした。

貸倉庫を工場として改修した場合の利回りを試算。新築した場合と比較し大幅に費用を抑えた計画でありながら、同等の生産量が確保できる結果となったため、20年定期借家契約を締結し改修工事を実施しました。

解決

当初掲げていた生産スペースの拡大目標を大きく上回り、生産能力が大幅にアップしました。

時代に応える

世の中の動きや変化に柔軟に適応する建物へと育む。
トレンドはもちろん、ライフスタイルの多様化にも配慮し、広く利用者ニーズにマッチする魅力ある建物をご提案します。

古さを感じさせない物件へ一新

■賃貸マンション ■築年数:46年 ■構造・規模:RC造/8階建

課題

老朽化した外観による将来の入居率低下への不安。周辺の物件との見劣りも感じ、建て替えか改修かで検討されていました。

建て替えの場合、当時はなかった都市計画の規制により、現在よりも建物規模が縮小してしまうことが判明。外観デザインの刷新をメインとした改修を行うご決断に至りました。

解決

入居者様からの評判も良く、競争力のある建物になったと評価。マンションオーナーとしての満足度も向上しました。

社員寮を賃貸マンションへ転換

■社員寮から賃貸マンション ■築年数:28年 ■構造・規模:S造/7階建

課題

建物の老朽化が進んだ社員寮。駅近ではなく駐車場がないことも影響し、かなり空室が目立っていました。

時代のニーズや入居者ターゲットのライフスタイルに合わせ全住戸間取り変更。清潔感のある白を基調とした明るいイメージの内装デザインに仕上げました。

解決

子育て世帯やDINKsなど若年層の入居者様を中心に、満室経営で安定した収益が得られています。


地域に寄り添う

事業を通して、多くの人に親しまれる建物へと育む。
周辺環境や地域ニーズの変化に対応するなど、地域のお役に立ち、必要とされる建物をご提案します。

マンションの機械式駐車場を保育園へ用途変更

■賃貸マンション ■築年数:20年 ■構造・規模:SRC造/12階建

課題

近年、1階機械式駐車場の空きが目立ち、収入の減少とともにメンテナンス費用もかかることから新たな活用方法を検討されていました。

駐車場の附置義務があるため、平面駐車場は残して、コストのかかる機械式部分のみを改修することになりました。認可保育園の誘致に成功し、駐車場から保育園へ用途変更しました。

解決

保育園のテナント収入により事業性も向上。地域の子育て世帯支援の一助となっています。

音楽ホールを設けた病院へ

■病院 ■築年数:40年 ■構造・規模:RC造/4階建

課題

病院を経営されるオーナー様。患者様への音楽療法と地域貢献の一環として院内に音楽ホールをつくりたいと検討されていました。

病院が入居するビルと隣接するビルの計2棟を購入。もともとあった剣道場を音楽ホールへ改修し、もう1棟に演奏者の更衣室を設置するなど、演奏会を開催できる環境や動線を整えました。

解決

定期的にミニコンサートを開催。患者様や地域の方々に音楽とふれあう機会を提供し喜ばれています。

提案例

築古物件購入+用途変更 ■オフィスビルから専門学校 ■築年数:27年 ■構造規模:S造/8階建

成長ポイント築古オフィスビルを購入し、デザイン専門学校として生まれ変わらせる。

オフィスビルとして使われていた8階建ての建物をすべてスケルトン化し、機能とデザインを見直して未来のデザイナーの学び舎にふさわしい建物にコンバージョン。新築した場合と比べて高い投資効果を生み出しています。

自己所有物件+リノベーション ■賃貸マンション ■築年数:37年 ■構造規模:SRC造/9階建

成長ポイント随時、空き部屋のリノベーションを行い、築古になった今も選ばれる物件として健在。

老朽化による空室率の改善を目的としたリノベーション。空室になったタイミングで3DKから2LDKなど、様々な層に向けた室内改修を行いました。現在は空室が出ても入居がすぐに決まる状況が続いています。

築古物件購入+リノベーション ■分譲マンション ■築年数:46年 ■構造規模:RC造/6階建

成長ポイント単なるリノベーションにとどまらず、「スマートマンション」へ変貌を遂げ注目物件へ。

スケルトン工事を施し、3DKから1LDKへと開放感のある間取りに変更。さらに当時、まだ珍しかった電気をかしこく管理するためのシステム「HEMS」を関西ではじめて導入し、最先端の住戸に生まれ変わりました。

自己所有物件+用途変更 ■賃貸マンション ■築年数:40年 ■構造規模:S造/7階建

成長ポイント店舗ではなく図書施設を検討、テナント空間にこれまでにない発想を。

地域活性化のため、1階の空きテナントスペースを地域の方々のコミュニケーション拠点となる図書施設に変更するプランをご提案。ご検討中に入居が決まったため実施には至りませんでしたが新たな可能性を見いだしました。


建物のある風景

時代を超えて人々に愛されつづける建物たち。
そんな建物のある風景を訪ねに、ちょっとでかけてみませんか。

大阪府立中之島図書館

竣工:1904年(明治37年)構造:RC造 地下2階・地上4階・塔屋住所:大阪府大阪市北区中之島1-2-10開館時間 : 月曜日〜金曜日/9:00-20:00、土曜日/9:00-17:00お問い合わせ:06-6203-0474(代表)

本館:中之島図書館の本館(中央部分と1号書庫)は、明治37年(1904年)に第15代住友吉左衛門氏によって建築、寄贈されました。 その後、増築された左右両翼の2棟を含め、昭和49年(1974年)に国の重要文化財に指定されています。

明治37年(1904年)、住友家が「府民のために有益な施設を」という想いで、建設資金の寄付ではなく、図書館そのものを建築して寄贈したのが大阪府立中之島図書館です。設計を担当したのは、野口孫市。東京駅や日本銀行本店などを手がけた辰野金吾の弟子であり、辰野から将来を嘱望された建築家でした。
中之島図書館の大きな特徴は、何よりその格式高いデザイン。外観はコリント式の円柱と梁、三角形のペディメント、そして、アカンサスをモチーフにした文様を纏ったルネサンス様式が取り入れられています。さらに、中央には目にも美しいカーブを描く、青銅製の円型ドーム。均整のとれた半球体は、正面玄関のデザインとの相乗効果で、より建物の優美な印象を高めています。こうしたギリシャ・ローマの神殿建築を踏襲したデザインで、今も昔も変わらぬ中之島の顔として堂々たる存在感を放っています。
建物に足を踏み入れると広がるのは、外観の古典様式とは異なる、自由な造形を志向したバロック様式の中央ホール。上部には八聖殿になぞらえて、菅原道真や孔子、ソクラテスなどの八哲の名が記されています。
数多く存在する部屋の中で、海外からの賓客をもてなしたとされるのが、正面玄関の真上に位置する記念室。半円の扇窓が取り付けられ、手作りのガラスがはめ込まれています。よく見ると微妙な歪みがあり、その不揃いな様子からも、ここに流れてきた長い歴史を感じます。
建築家のこだわりが随所にみられる中之島図書館。ここには、今も明治の大阪人たちのロマンと活気が息づいています。

左から 外観:外観はアメリカのある図書館をモデルとしたといわれ、細部まで忠実に古典様式が再現されています。/正面玄関:「大阪図書館」の名前から読み取れるように、中之島図書館が建てられるまで、大阪には図書館がありませんでした。/中央ホール(ドーム下):円形窓のステンドグラスを中心に、円を24分割した幾何学的な造形が幻想的な雰囲気をつくりだしています。/中央ホール:大階段には国産の良木が使用され、ネオ・クラシシズムと日本独自の様式美を感じることができます。

設計本部 第四設計室長
關 聡志

この建築はもしや、明治の人々にとっては異世界を覗く窓であり、タイムマシンだったのではないか。外観はルネサンス、内部はバロック、そして装飾を冠した列柱はギリシャ…。壮麗なドーム天井の下には時代を超越した八賢人(八哲)の姿も。「本読むだけやったら面白ないやろ」と稀代の風流人、住友吉左衛門翁の声が聞こえてきそうである。

オーナー様を陰から支える建設のプロフェッショナルたち 想いを築く仕事人 Vol.5

オーナー様と入居者様の間に立ち、双方にメリットある施策を打つ。

松エステート 東京 営業部
佐藤 元享
オーナー様と入居者様の双方にとってメリットがある企画やアイディアを追求し、松建設が建築した賃貸マンションの価値を向上させる。

住まう人の声に耳を傾け、細やかに幅広いニーズに応える。

松建設グループの一員として、賃貸マンション管理・不動産仲介・一括借上事業を行う総合コンサルタント会社、松エステート東京。オーナー様と入居者様のつなぎ役となり、より住み良く、資産価値を高めるための様々な提案を行っている。「例えば温水洗浄便座などの設備面を見直すだけで、家賃を上げられるケースもあります。築10年の物件でも、新築時と同額で入居が決まったこともありました」と、佐藤は語る。入居者様のニーズを把握し、オーナー様の悩みを解決するのが佐藤の仕事である。

その松エステート東京が、2020年6月、入居者様向けに新たなサービスをスタートさせた。家具家電レンタルやハウスクリーニング、家事代行サービスなどの暮らしにまつわるサービスを安価で提供する、「松コンシェルジュサービス」だ。サービスの中には、わずか月額770円(税込)で水回りや鍵の紛失など様々な生活トラブルに24時間365日対応(応急処理無料)する「ハッピーコムライフサポート」など、入居者様にとってありがたいサービスもある。当社が管理する物件の入居者様が必要に応じ自由に選べ、わずかな費用負担により質の高いサービスが利用可能となる事で、物件価値向上へのプラス材料となるものだ。
まだ始まって間もないが、すでにオーナー様や入居者様から多くの喜びの声が届いている。それもそのはず、このサービスは事前に入居者様にアンケートを取り、そのニーズに合わせてコンテンツを用意しているからだ。「まだアンケートの声に対応しきれていない部分もあるので、今後、ラインナップや質も充実させ、身近なサービスとして成長させていきたい」、そう話す佐藤。
さらに彼には、この先まだ挑戦していきたいことがあるという。それは築年数の古い物件や郊外の物件に対して資産価値を高められる提案をし、入居率を高めるということだ。オーナー様、入居者様の求められていることを掴み、それに見合った最適なサービスを提供できれば、築年数や立地の壁はきっと越えられる。佐藤はそう信じている。


掲載内容は2020.9月発行時点のものです。
時間経過による掲載内容の変化は保証できませんのであらかじめご了承ください。
内容についてお確かめの場合は、【0120-53-8101】へお問い合わせください。

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