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2025年10月 髙松建設不動産市況レポート

不動研住宅価格指数とレインズデータ、なぜ「上昇率」が違うのか?

「首都圏の中古マンション価格が10年間で2倍に」と多くのメディアで紹介されています。
このような話題になっているマンション価格ですが、実際に「何が」2倍になったのかを厳密に理解している人は多くはないでしょう。
今回は首都圏の中古マンションの価格推移について、レインズデータと不動研住宅価格指数の2つのデータを用いて解説します。

中古マンション平均価格は2倍に

まず東日本レインズの中古マンション成約データを見ていきましょう。

首都圏中古マンション成約平米単価の推移

このグラフを見ると2013年頃から平米単価は上昇しています。
2013年の平均平米単価は39.96万円で、2024年は76.88万円。単純計算で1.94倍となり、約2倍という数字が示されています。

不動研住宅価格指数は「資産価値の変化」に注目

次に一般財団法人日本不動産研究所が発表する「不動研住宅価格指数」を見てみましょう。
不動研住宅価格指数は、東日本レインズの取引データを元に作成されている指数ですが、算出方法がレインズデータとは異なります。

不動研住宅価格指数(首都圏総合)2000年1月=100

指数は2000年1月を100としています。2013年1月の指標は77.07、2025年1月の指標は128.45で、単純計算すると約1.67倍となります。
この結果は先ほどの約2倍とは差がありますが、なぜでしょうか。

不動研住宅価格指数は、同一物件の再取引価格を追跡する「リピートセールス法」により算出されています。つまり「同じ物件が再び売買されたときの価格変化」を指数化しているのです。

先ほどの1.67倍という数値を例にすると、2013年に3,000万円で売られた物件が2025年に再び市場に出た場合、平均的には約1.67倍(=約5,010万円)になっている傾向を示しています。

「トレンドの把握」か「純粋な資産価値の把握」か

最後に両者の違いをまとめてみましょう。

中古マンション平米単価と不動研住宅価格指数の推移比較

上記表を見ると、レインズの中古マンション成約平米単価と不動研住宅価格指数は似た動きをしているように見えます。しかし2013年比で比較すると、平米単価は約2倍に上昇しているのに対し、不動研住宅価格指数は約1.6倍と差があります。

この違いの理由は両者が示す対象の性質の違いにあります。レインズの平均㎡単価は、その時期に売買されたすべての取引(成約登録されたもの全て)を平均化したものです。

極端な話では2011年は郊外の築古マンションの取引が多く、2025年には都心部の築浅・駅近マンションの取引が増えた場合、平均価格は大きく上昇します。 つまりレインズのデータには、不動産価格の上昇に加えて市場に出ている物件の構成変化の影響も含まれており、市場全体のトレンドを把握する指標として活用できます。

一方、不動研住宅価格指数は同一物件の再取引価格を追跡して算出されているため、純粋に資産価値の変化を示します。このため同一物件の価格上昇の実態を知りたい場合には、不動研住宅価格指数がより正確な指標と言えるでしょう。

投資家の立場から両データを活用する場合、それぞれ役割が異なります。
不動研住宅価格指数は、保有している物件や購入を検討している物件の資産価値の変化を把握するのに適しており、値上がりリスクやリターンの分析に役立ちます。 一方、レインズの中古マンション成約データは、市場の動向をリアルタイムで知ることができるため、売り時や買い時を判断する際の重要な参考情報となります。

「中古マンションが2倍になった」という言葉の裏にある根拠を理解した上で、投資判断を行うことが重要でしょう。

定点観測データ

Ⅰ 首都圏中古マンション流通レポート

出典:(公財)東日本不動産流通機構

Ⅱ 近畿圏中古マンション流通レポート

出典:(公社)近畿圏不動産流通機構

Ⅲ 中部圏中古マンション流通レポート

出典:(公社)中部圏不動産流通機構

Ⅳ 福岡県中古マンション流通レポート

出典:(公社)西日本不動産流機構

   

Ⅴ 貸家着工戸数状況(東日本)

出典: 国土交通省

Ⅵ 貸家着工戸数状況(西日本)

出典: 国土交通省

Ⅶ 金利の推移

出典:財務省住宅金融支援機構

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書

「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

レギュラー出演

ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

公式サイト

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