- トレンド
新政権の経済政策が不動産・建築業界に与える影響

例えば「それまで野党第一党だった政党が与党になる」という場合には、大きな政策の変化が生じるものです。しかし、同じ政権与党の中でトップが交代しても巨大政党である自民党の中では、それまでの政治姿勢が大きく異なる方が総理になれば、政策が大きく変わることがあります。
高市氏は2025年10月4日に自民党総裁選挙に勝利し、その後10月21日に新しい総理となりました。新政権では「大きな政策の変化」がありました。
物価高対策はインフレを導く?
総理就任から1か月後の11月21日に新政権の経済政策が公表されました。その中から特に「物価高対策」の具体策について簡単にまとめておきます。(官邸ホームページより)
物価高対策は家計向けと事業向けに分かれています。
家計向けの物価高対策としては、まず「ガソリン暫定税率の廃止」があります。この施策によりガソリン価格は25.1円安くなります。1世帯当たり平均12,000円の負担軽減効果があるようです。2つ目は「電気・ガス代の支援」で1~3月の電気・ガス代支援で1世帯当たり7,000円程度の負担軽減が見込まれています。 3つ目は「所得税・年収制限の壁の見直し」、4つ目は「重点地方交付金の拡充」で1世帯当たり平均1万円程度が支給されます。
これらの合計費用は5.1兆円と見積もられています。
事業向けの物価高対策としての対象は医療・介護事業や中小企業向けの支援で、賃上げに取り組む企業向けの支援が中心となっています。
物価の上昇(消費者物価指数の上昇)は2022年春ごろから続いており、現在も2%台後半から3%程度の物価上昇が続いています。
一方、名目賃金は上昇していますが、インフレ率を考慮した実質賃金はマイナス傾向にあります。
こうしたことから早急な物価高対応が求めていましたが、今回の政策はこれに呼応する「物価高対策」ということになります。
しかし家計向け物価対策の資金だけでも5.1兆円あり、これだけのお金が市場に投入されるわけですから、結果的に多少の物価高(インフレ)に繋がることになりそうです。また新政権の経済政策は総額で約21兆円の真水を投入する政策ですので、インフレの可能性が高くなります。
物価高対策が結果インフレをもたらすのは本末転倒になりかねないことですが、インフレ基調は不動産価格上昇の可能性を高めます。しかし次に述べるように、建築費がさらに上昇する可能性があります。
円安の進行と建築工事費
政権が変わり金融緩和政策の継続が示唆されると円安傾向が進みました。8月初旬には1ドル=147~148円でしたが、11月半ばには一時1ドル=158円台を付けました。その後12月の日銀金融政策決定会合で利上げされる憶測が強まったことで、2025年12月4日時点では155円台となっています。
多くのものを海外からの輸入に頼る日本では、円安は物価上昇の可能性を高めます。その一方で輸出関連企業には有利に働きますので、例えば日経平均株価は上昇傾向にあります。
建築関連企業において、市場を国内に限れば、建築資材の価格上昇・ガソリンなどのエネルギー価格の上昇・外国人労働者を現場職人として雇う場合には賃金の上昇圧力増など価格上昇要因が挙げられます。
2025年の前半には上昇幅の拡大が治まりつつありました(上昇は続いていました)。
工事費デフレーターを見ても直近は再び上昇幅拡大傾向にあります。その兆候はすでに出始めており、下記グラフを見てもこのところ工事費上昇が急拡大していることが分かります。
■建設工事費デフレーター(住宅総合)の推移(2015年度基準)

(国土交通省「建設工事費デフレーター」より作成)
建築・建設にかかわる人手不足も顕著なため、今後建築工事費は一段と上昇するものと思われます。
円安は不動産投資において、逆に外国人投資家や海外の機関投資家にとってポジティブに働きます。円安により日本の資産は買い得感が出ます。
対中国では政治的な影響が出始めており、中国人投資家の動きは止まってきているようですが、それを除けば本来はポジティブ要因となります。
長期国債金利の上昇
新政権は積極財政出動を行い、経済を活発化させることを掲げています。財政出動や国債の発行などにより財政悪化が懸念される一方で経済活動がさらに活況となり、税収が増えることを見通しています。
金融市場を見ると財政悪化懸念の方が大きいようで、それを反映して長期国債金利が上昇しています。長期国債金利は上昇を続けており、2025年12月6日には1.95%を超える水準となっています。
長期国債金利は不動産投資におけるベース金利とされていますので、投資をする際に求める利回りの上昇に繋がります。期待利回りが仮に上昇しても、賃料などの収益性も上昇すれば不動産市況に影響は大きくありません。しかし賃料上昇に天井感が見えれば、リスクとなりかねませんので注意が必要です。
- #円安傾向
- #インフレ
- #中小企業
- #医療・介護事業
- #所得税・年収制限の壁
- #重点地方交付金
- #電気・ガス代
- #ガソリン暫定税率の廃止
- #事業向け
- #家計向け
- #建築業界
- #自民党
- #経済政策
- #新政権
- #金融緩和政策
- #消費者物価指数
- #物価高対策
- #不動産投資
- #長期国債金利
- #高松建設
- #マンション建築
- #土地活用
- #髙松建設










