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令和8年度(2026年度)税制改正大綱の概要と住宅ローン減税の拡充

毎年12月に公表される税制大綱ですが、2026年度(令和8年度)分は2025年12月19日に「2026年度税制改正大綱」として公表され、26日に閣議決定されました。新たな政権の枠組みとなり「所得税の最低下限課税額の引き上げ(年収の壁)」が特に大きな論点となっていましたが、こちらも盛り込まれました。

今回は税制改正大綱のポイントと拡充された住宅ローン減税について解説します。

税制度が変更される流れ今回は税制改正大綱のポイントと拡充された住宅ローン減税について解説します。

毎年の税制大綱は大きく取り上げられますが、これがどのような流れで施行されるかはご存じない方もいると思います。

まず毎年8月に各省庁などから要望が出されます。
国土交通省から出された令和8年の改正要望は こちらです。

これらをまとめたものが与党の税制調査会で議論され、与党税制改正大綱がまとめられます(令和8年度分は2025年12月19日に公表)。その後、閣議に提出され閣議決定されます(令和8年度分は2025年12月26日)。
国土交通省が12月26日に公表した令和8年度税制改正大綱の概要は こちらです。

そして通常国会(2026年1月23日から)が始まると税制大綱が提出され審議が行われます。そのため税制大綱に盛り込また内容が、必ずしも確定するわけではありません。しかし、ほぼそのままということが通例となっていますので、今回もこの大綱の内容がそのまま4月から施行されることになるでしょう。

税制改正と政府のメッセージ

税制改正には政府与党の意向が強く反映されます。政治においての国内対応では、何に予算を使うか(予算編成)が最も大きな重要案件であり、立法府は「実現したい政策」を議論しますが、そのためにはお金が必要ですから、結局は「どうお金を使うか」を議論しているわけです。

そのお金(=予算)は税収と国債でまかなわれます。国債の発行は無尽蔵で行うことはできず、「税金をどう集めるか」に焦点が集まります。税は少ない方がいいと考える払う側(個人・法人)と、予算を確保したい政府は基本的に対立することになります。
政府は税制度にメッセージを込めて税制度の改正を行います。そのメッセージが税制改正大綱に記載されているわけです。
今年の大綱を見ると、そのメッセージは「物価高対応」と「不公平感の解消」だと読み取れます。

最も注目を集めた物価高対応では、いわゆる「年収の壁」が178万円に引き上げられます。これにより多くの人々がより多くの収入を得ることができるようになります。また中所得者層に対しては、所得税の負担が軽減される控除額が増えることで少し負担が軽くなりました。

また新たに防衛所得課税が新設されました。
「防衛所得課税」とは日本の防衛力強化のための財源を確保するためのものです。2027年1月から所得税に「防衛特別所得税」として1%が上乗せされます。同時に東日本大震災からの復興に使う「復興特別所得税」の税率が現行2.1%から1.1%に1%引き下げられます。

住宅ローン減税の改正内容

具体的に最も控除が大きいのが「長期優良住宅・低炭素住宅」で、借入限度額4,500万円(子育て世帯は5,000万円まで、中古住宅は3,500万円まで)に対して0.7%の控除が適用されます。年末のローン残高に対しても同じ0.7%の税控除が13年間受けられます。

ZEH水準省エネ住宅は、新築住宅・中古住宅とも借入限度額3,500万円(子育て世帯は4,500万円)。
省エネ基準適合住宅は、新築住宅の借入限度額2,000万円(子育て世帯は3,000万円)ですが、2027年までの措置で、2028年以降は対象外となります。中古住宅は新築住宅と同額で期限は2030年までとなります。
その他の住宅では新築住宅は対象外で、中古住宅は上限2,000万円で期間は10年間となります。

床面積要件では50㎡から40㎡に緩和されます。
また立地要件においては、災害リスクの高いレッドゾーン地域の新築物件は減税対象外とされました(建替え・リフォームは対象に含まれます)。
住宅ローン減税に環境政策や防災政策の視点が組み込まれたと言えるでしょう。さらに所得要件は2,000万円と定められています。

新築物件の価格だけでなく中古物件の価格も高騰していることから、中古住宅向けの住宅ローン控除が拡充されました。床面積要件では新築住宅と同様に40㎡以上に緩和され、控除期間もこれまで10年だったものが、新築と同じ13年に延長されました。

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書

「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

レギュラー出演

ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

公式サイト

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