- 髙松建設不動産市況レポート
2021年12月 髙松建設不動産市況レポート
コロナショックからの経済回復が鮮明となり金融緩和を徐々に解除する方向の米国に比べて、日本における経済回復はまだ少し時間がかかりそうです。しかし、日本における不動産や住宅市況は、再び好景気の様相になってきました。22年も低金利は続きそうで、不動産市況はその恩恵をしばらく受けるでしょう。
TOPICS① コロナショックでも堅調だった賃貸住宅のキャップレート
投資家が期待する利回りのことを「キャップレート」と言います。さて、このキャップレートは、還元利回りとも言われ、不動産の純収益(NOI、総家賃収入から管理費や修繕費などを控除したもの)を不動産価格で除して算出できます(①)。逆に、キャップレートから不動産価格を算出する場合、不動産価格=純収益÷キャップレートで、その不動産評価額が算出されます(②)。

次に、日本不動産研究所が4月と10月に調査・公表している「不動産投資家調査」のキャップレートの推移を見ていきましょう。この調査は、期待利回りを中心として投資スタンスや今後の賃料の見通しなどを各種機関投資家、アセットマネージャー等に対するアンケート調査結果を基に分析を行ったものです。より分かりやすく言えば、不動産投資のプロに「利回りが何%あれば、現時点で、該当エリアの賃貸住宅に投資が出来るか?」というアンケートをまとめたものとも言えます。数値が高ければ、リスクが高いと考えていると見られ、逆に低ければリスクが低いと投資家が判断していると言えます。また、このキャップレートが下落傾向にあると言うことは、上の②のような状況で、不動産価格が上昇傾向にあるとも考えられます。それでは、キャップレートの長期推移を見てみましょう。

賃貸住宅におけるキャップレートは、2008年頃までは下落が続いていましたが、リーマンショックを境に、一気に上昇しました。その後、更にリーマンショック前よりも低い水準にまで下落しています。コロナショック直後の2020年4月・10月、2021年4月調査時点は、不動産投資家も様子見をしており、横ばいが続いていましたが、リーマンショックほどダイレクトに影響を受けていないようです。そして、今回最新で公表された2021年10月調査では、多くのエリアで下落しました。新型コロナウィルス感染拡大の影響で、テレワークが浸透し、中心地から郊外への転出が増えていますが、投資家が見た賃貸住宅市況は、現時点では大きな影響を受けておらず、むしろ、投資家のポジティブな姿勢が見られます。
TOPICS② 貸家着工戸数 回復の兆し 2022年は再び賃貸住宅建設ラッシュか?

上のグラフは全国の貸家着工戸数の推移です。2014年4月より消費税が5%から8%に引き上げられましたが、その直前は駆け込み需要で前年同月比二桁越えの高水準で推移していましたが、その後は反動で前年同期比マイナスが続きました。その後、低金利と不動産投資ブームにより再びプラスに転換し、好調が暫く続きました。

しかし、2017年頃から勢いにブレーキがかかりました。この頃にいわゆる”スルガ問題”が起こり、それまで金融機関で続いていた積極的な融資姿勢が、一部で厳格化してきたことが一因に挙げられます。左のグラフは、日本銀行のデータで、「個人による貸家業」への設備資金新規貸出額の推移を示したものですが、これを見ると、新規貸出額は明らかに2016年をピークに減少しているのが分かります。

最後に、東京都、愛知県、大阪府別で貸家着工戸数を見てみましょう。2021年はどのエリアも多くの月で前年比プラスとなっています。特に、大阪府は2021年10月時点で、27,580戸と昨年合計の28,423戸とほぼ同水準となっています。
2022年は再び貸家が活況となるのでしょうか?注目です。
定点観測データ
Ⅰ 首都圏中古マンション流通レポート
出典:(公財)東日本不動産流通機構


Ⅱ 近畿圏中古マンション流通レポート
出典:(公社)近畿圏不動産流通機構


Ⅲ 中部圏中古マンション流通レポート
出典:(公社)中部圏不動産流通機構


Ⅳ 貸家着工戸数
出典:国土交通省

Ⅴ 金利の推移
出典:財務省、住宅金融支援機構

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