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2023年9月 髙松建設不動産市況レポート

9月19日に国土交通省より、2023年都道府県地価調査(基準地価)が公表されました。全国平均では、全用途平均で+1.0%、住宅地で+0.7%、商業地では+1.5%となりました。
※基準地価はTOPICS②で解説します。

TOPICS① 中古マンションの需要と供給の関係

中古マンション市場において、需要と供給それぞれの状況は売買契約成立時のデータに表れます。今回は、それぞれのエリアの中古マンション市場を価格乖離率と成約までの期間に着目して見ていきましょう。

中古マンションの価格乖離率の推移

価格乖離率とは、「中古マンションが売りに出された際の価格(=売出価格)とその物件が成約に至った際の価格(=取引価格)の差額との比率」を言い、(取引価格―売出価格)÷売出価格×100% で算出されます。価格乖離率のマイナスの値が大きくなればなるほど、売り手が当初提示した売出価格よりも、成約時の価格が下がったということを意味しています。
上図のように、どのエリアも2020年下期から価格乖離率が縮小しています。特に首都圏での縮小傾向が顕著となっています。新型コロナウィルス感染拡大直後は売主の慎重な姿勢があり新規登録件数並びに在庫件数が減少しましたが、活動の制限が解かれると緊急事態宣言等の期間に溜まっていた需要はその反動で増加しました。つまり、需給バランスでいうと、需要過多となっていたわけです。そのためどちらかというと売り手優位の状況となり、価格乖離率も縮小しました。
しかし、価格乖離率の縮小傾向も落ち着き、現在は拡大傾向に入っています。

中古マンション 売却期間の推移

次に販売期間について見ていきましょう。首都圏は価格乖離率同様、コロナ後に期間が大幅に縮小しており、売主優位の様相を呈していました。一方で、近畿圏は首都圏や中部圏よりも長期化傾向にありましたが、昨今では少し落ち着いてきている状況です。
昨今はどのエリアでも中古マンション価格が高騰しています。それに伴って、買い手が価格高騰に追い付いて行けず、購入に慎重な姿勢を見せ始めています。そのため、価格下落圧力が働き、当初の売出価格からの下落傾向が全体として見られ、売却期間も長期化しています。
また、在庫が増えてきているため、売主目線だと強気の売出価格設定は厳しいことが予想されます。今後は、適切な価格での売り出しが重要となりそうです。

TOPICS② 住宅地・商業地ともに上昇率が拡大。2023年基準地価の考察

国土交通省から2023年の基準地価が公表されました。全用途土地の地価上昇エリアが全体の44.7%となり、コロナ禍で大きく下落した2020年から倍増しました。早速、各エリアごとに基準地価を見ていきましょう。

基準地価変動率の推移(東京都)

東京都は住宅地+3.0%(前年+1.5%)、商業地+4.5%(同+2.0%)で地価の上昇率が大幅に拡大しました。特に商業地地価では、インバウンドや国内観光客の回復に伴い、浅草周辺のエリアの上昇率が高くなりました。
東京都の平均価格を100とした際の、各道府県の指数(住宅地)は神奈川県の46.6が最大で、東京都の地価の高騰度合いが際立つ結果となっています。

基準地価変動率の推移(愛知県)

愛知県では、住宅地が+2.1%(同+1.5%)、商業地+3.4%(同2.3%)と上昇幅を拡大させています。リニア中央新幹線や名古屋市の繁華街における再開発への期待から地価上昇が続いており、名古屋市商業地では+5.3%の上昇となりました。名古屋市周辺の住宅地の地価上昇も目立っており、旺盛な住宅需要が名古屋市から波及していると言えます。

基準地価変動率の推移(大阪府)

大阪府は住宅地+1.3%(同0.4%)、商業地+4.3%(同1.6%)で、コロナ禍からの観光客の増加を背景に、繁華街などを中心に商業地の回復が際立ちました。更に2025年の大阪・関西万博の開催やIRなどへの期待感も地価上昇を押し上げる一因となっています。

基準地価変動率の推移(福岡県)

福岡県は、住宅地が+3.3%(同2.5%)で沖縄県に続いて上昇率が2位、商業地は+5.3%(同+4.0%)で全国1位の上昇率でした。福岡市中心エリアの再開発への期待から上昇が続いていますが、商業地だけではなく住宅地での上昇も顕著で、福岡市の住宅地の上昇率は8.2%でした。中心地での地価高騰は周辺エリアにも波及しており、たとえば博多駅へのアクセスがよい福岡県古賀市の住宅地変動率は11.2%でした。

定点観測データ

Ⅰ 首都圏中古マンション流通レポート

出典:(公財)東日本不動産流通機構

Ⅱ 近畿圏中古マンション流通レポート

出典:(公社)近畿圏不動産流通機構

Ⅲ 中部圏中古マンション流通レポート

出典:(公社)中部圏不動産流通機構

Ⅳ 福岡県中古マンション流通レポート

出典:(公社)西日本不動産流通機構

Ⅴ 貸家着工戸数

出典:国土交通省

Ⅵ 金利の推移

出典:財務省住宅金融支援機構

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書

「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

レギュラー出演

ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

公式サイト

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