- 髙松建設不動産市況レポート
2023年10月 髙松建設不動産市況レポート
10月末に行われた日銀金融政策決定会合では、長期国債金利の1%超えの容認とイールドカーブコントロール政策の一部変更はあったものの、それ以外の金融緩和政策の維持が決まりました。低金利がまだ続くことになります。一方で、アメリカでは金利上昇が続いていることもあり為替相場は1ドル=150円前後となっています。そのため輸入原材料の多い食品関連などの物価は、まだ上昇する可能性が高くなってきました。
TOPICS① データから見る賃料の「遅行性」
総務省が10月20日に発表した9月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が105.7となり、前年同月比で2.8%上昇しました。上昇率が3%を下回ったのは22年8月以来13カ月ぶりで、政府による料金抑制策が続く電気・ガス代の低下が上昇率を押し下げたとみられます。とはいえ、2%超の物価上昇が続いています。賃料への影響はあるのでしょうか?
消費者物価指数(前年同月比)の推移

総務省統計局資料より作成
一般的に、インフレ期には家賃が遅れて上昇することが知られています(遅行性)。これは、物価上昇や景気動向、地価や不動産価格の上昇にタイムリーに反応するのではなく、少し遅れてその影響が表れるということです。そして、昨今の物価上昇に対しても、少しずつ反応を見せ始めています。
分譲マンション賃料(12カ月移動平均)の推移

上のグラフは、分譲マンションの賃料の「月額募集賃料」の推移を示しています。賃料は募集時に改定されることが多いことから、「募集賃料」の方がより市場の動向が反映されやすいと考えられます。
2012年からの推移を見るとどのエリアも緩やかに上昇傾向にありますが、特に昨今の上昇が目立っています。例えば、東京23区では2023年1月時点では前年同月比3%でしたが、最新の2023年9月時点では12%にまで上昇幅が拡大しています。賃料の「遅行性」がデータとしても顕著に出てきています。今後、物価上昇によって賃金の上昇が更に進めば、賃料への反映も進むとみられます。
TOPICS② 成約件数減少の中で続く、戸建ての成約価格上昇
昨今の首都圏の戸建市場について詳しく見ていきましょう。
最新の2023年9月期首都圏中古戸建平均成約価格は、3,924万円(前年同月比2.2%)でした。首都圏の中古戸建では、価格の上昇が続いています。
首都圏 戸建成約件数・成約平均価格の推移(12カ月移動平均)

グラフを見る通り、最近の首都圏の中古戸建の成約価格の上昇は、成約件数減少という状況下で起こっています。成約件数は21カ月連続で前年同月比マイナスが続き、成約価格は上がり続けています。23年6月に3,750万円で前年同月比マイナス1.9%になるまで、成約価格は31カ月連続で前年比プラスが続いていました。
成約価格が連続して上昇し始める前の20年10月は3,113万円でしたから、3年足らずの間に20.4%も上がったことになります。
首都圏 戸建新規登録件数・新規登録平均価格の推移(12カ月移動平均)/首都圏 戸建在庫件数・在庫平均価格の推移(12カ月移動平均)


東日本レインズ資料より作成
首都圏戸建の新規登録状況と在庫状況を見ていきましょう。新規登録件数は、コロナ禍で「まだ上がるのではないか?」「今は売り時ではないのでは?」と様子見をする売り手が増えたことで、新規の売り出しが減少しました。その一方で、低金利を背景に住宅需要は引き続き強く、都心のマンション高騰により戸建に購入対象を変更した人や、テレワークの浸透でより快適な住宅を求める人も増え、戸建て需要は増えて行きました。そのため、需給の逼迫感が強まり、価格上昇につながっていたとみられます。
しかし、グラフを見ると在庫件数も新規登録件数も現在は、上昇傾向にあるのが分かります。在庫が回復していることを受け、今後は価格上昇のスピードが鈍化していくことが考えられます。これまでは需給関係が価格決定の大きな要因の一つになっていましたが、今後、金融政策により価格は大きく左右される可能性があります。
定点観測データ
Ⅰ 首都圏中古マンション流通レポート

Ⅱ 近畿圏中古マンション流通レポート

Ⅲ 中部圏中古マンション流通レポート

Ⅳ 福岡県中古マンション流通レポート

Ⅴ 貸家着工戸数
出典:国土交通省

Ⅵ 金利の推移

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