• 髙松建設不動産市況レポート

2024年1月 髙松建設不動産市況レポート

物価上昇が続く中、日銀の金融緩和政策に変化がありそうなキザシが鮮明になってきました。現在のマイナス金利政策を解除し、少し政策金利が上がりそうな様相です。
様々な憶測が飛び交っていますが、早ければ3月もしくは4月の日銀金融政策決定会合で解除が決定されるかもしれません。金利動向が経済にどんな影響を与えるかはっきりとは分かりませんが、仮に金利上昇しても「わずかに」「少しづつ」となりそうですので、冷静に対処したいものです。

TOPICS① 日本の将来人口の見通しと賃貸住宅需要

「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所:23年4月公表)によれば、50年後の2070年には、総人口が現在の7割までに減少(在留外国人を含む、以下同じ)、20年国勢調査では1億2615万人が70年には8700万人にまで減少する見通しです。外国人が増えることで、減少ペースは前回推計(2015年の国勢調査をもとに2019年に推計)よりも少し緩やかになりますが、少子化の影響が色濃く出ています。

また、12月には同研究所より地域別の「日本の地域別将来推計人口」が発表されました。
結果は、向こう30年の推計で、都道府県別で大きな差が出る結果となりました。以下、細かく見てみましょう。

日本の主要都市の将来推計人口(東京・大阪・愛知・福岡)

グラフは、東京都・大阪府・愛知県・福岡県の4大主要都市の2050年までの人口推計です(2020年を100としています)。2015年~2020年の間で、39の道府県で人口が減少しました。次回の国勢調査年である2025年までの5年間では、東京都を除く46の道府県で人口が減少すると推計されています。4大都市と言われる東京・大阪・愛知・福岡ですが、将来人口の見通しは大きく異なります。外国人を含めれば、東京都は25年以降も人口が増え続ける唯一の都市で20年を100とすれば35年は102.9、50年には102.5となります。大阪府や愛知県や福岡県ではすでに減少は始まっており、20年を100としてみれば、大阪府は50年には82.2、愛知県は88.5、福岡県は87.2となります。生産年齢人口とよばれる15-64歳(賃貸住宅需要の中心)は2000年を100とすれば、40年に100を超えるのは唯一東京都だけとなります。

都道府県単位でみれば、このようになりますが、市や区の単位で見れば、大都市部やその周辺地域では人口増が見込まれているところも多くあります。こうしてみれば、これからの20年で住宅需要、賃貸住宅需要が伸びるのは都市部(やその周辺)に限られてくる可能性が高いようです。

TOPICS② 増える法人保有の「社宅以外の」住宅

法人が保有する住宅と言えば、「社宅」や「社員寮」が思い浮かびます。一時は「持たざる経営」がブームとなり、社宅などを手放す企業が増えました。しかし、近年「人的資本経営」がクローズアップされ、徐々に復活のキザシにあります。一方で、ここ10年くらいは「社宅」ではない、法人が保有する住宅が増えました。その中には、企業が保有する土地を活用して賃貸住宅を建築する例が増えているようです。
具体的に見てみましょう。

法人が所有する「建物敷地」の利用現況別件数と増減の推移

上のグラフは、国土交通省が調査・公表している「法人、土地・建物基本調査」からのものです。本調査は5年に1度の調査で、23年に調査が行われましたが発表はまだですので、現時点での最新調査結果は2018年のものになります。グラフをみれば、企業が社宅以外の住宅を保有している数が増えていることが分かります(赤の棒グラフ)。

転換期は、平成20年(=2008年)ごろで、この頃を境に増えていることがわかります。たとえば、企業が保有している遊休土地の活用として、老朽化した社宅を取り壊して賃貸住宅への転換、事業用で利用していた建物を集約させ新たに賃貸住宅を建築といった例が多いようです。また、事業会社が収益を増やすために、(投資として)新たに賃貸住宅購入する、という例も増えています。

また社宅と賃貸住宅を一体化させた建物もふえつつあります。老朽化した社宅を建替えて、例えば5階建てのうち、上層2階分は賃貸用住宅、下層3階分は社宅として使うといった事例です。こうした一部社宅は、新築することもあれば既存建物をリノベーションする事例もあります。

定点観測データ

Ⅰ 首都圏中古マンション流通レポート

出典:(公財)東日本不動産流通機構

Ⅱ 近畿圏中古マンション流通レポート

出典:(公社)近畿圏不動産流通機構

Ⅲ 中部圏中古マンション流通レポート

出典:(公社)中部圏不動産流通機構

Ⅳ 福岡県中古マンション流通レポート

出典:(公社)西日本不動産流通機構

Ⅴ 貸家着工戸数

出典:国土交通省

Ⅵ 金利の推移

出典:財務省住宅金融支援機構

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書

「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

レギュラー出演

ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

公式サイト

  • #将来推計人口
  • #法人土地・建物基本調査
  • #福岡
  • #賃貸住宅
  • #賃貸住宅需要
  • #大阪
  • #名古屋
  • #東京
  • #CRE戦略
  • #髙松建設