• 髙松建設不動産市況レポート

2023年5月 髙松建設不動産市況レポート

日経平均が連日3万円を超えており、株式市場の活況が続いています。また、不動産投資においてもキャップレートが史上最低水準となり、こちらも引き続き活況です。金融緩和政策の継続が決まり、欧米の株式市場が振るわない中、日本市場は株式・不動産とも好調の様相です。

TOPICS① タワーマンションの今とこれから

株式会社不動産経済研究所によると、2023年3月末時点で2023年以降に全国で建設・計画されている超高層マンション(階建て20階以上物件)は287棟、11万4,205戸の見通しということです。前回調査時(2022年3月末時点)に比べて23棟・1万5,247 戸増加しています。
首都圏では8万4,671戸、全国の74.1%にあたります。そのうち東京23区内は6万166戸で、全体の52.7%と半数以上のシェアを占めています。近畿圏は1万6,578戸でシェアは14.5%、そのうち大阪市内は8,497戸(シェア7.4%)です。その他のエリアでは北海道1,901戸(シェア1.7%)、福岡県1,639戸 (シェア1.4%)、愛知県1,627戸(シェア1.4%)が上位です。他には宮城県6棟、岐阜県3棟、茨城県4棟などが計画されています。
タワーマンション建築は、首都圏が中心ながらも地方へ広がりを見せています。

超高層マンション超高層マンションの完成(予定)年次別計画戸数推移(全国)

不動産経済研究所「超高層マンション動向2023」より作成

2000年頃からタワーマンションブームが過熱化し、2007~2008年は2万戸台を超えましたが、リーマンショック後の経済情勢によって首都圏でのタワーマンション計画の規模縮小が相次ぎました。しかしその後タワーマンションブームは再熱し、都心の特に湾岸エリアを中心にタワーマンションの竣工が続いています。

2022年はコロナ禍での工期遅延などの影響があり、21年振りに1万戸を下回る8,244戸となりました。2023年は2022年から完成が遅れてしまった物件などがあるため、大きく上昇すると見られています。

超高層マンション完成戸数と築10年以内が占める割合(首都圏)

不動産経済研究所「超高層マンション動向2023」より作成

グラフの緑色線は、首都圏でその年に実在するタワーマンションストック数の中で築10年のものがどれくらいの割合あるかを示した数値です。これによると、リーマンショック前に急増したタワーマンションが築10年のステージを超えてから、築10年以内の物件割合が減少しているのが分かります。新築マンションが高額化する中で築浅の中古物件も引き合いに出されますが、タワーマンションの築浅物件に関してはその数があまり多いとは言えないために、中古物件でも高額取引となっているようです。

TOPICS② ニーズの多様化を反映?賃貸住宅投資過熱?増えるコンパクトマンションの供給量

首都圏コンパクトマンション市場動向

不動産経済研究所「首都圏・近畿圏コンパクトマンション供給動向」より作成

コンパクトマンションとは住戸専有面積が30.00㎡以上50.00㎡未満で、ワンルームマンションとファミリータイプマンションの中間に位置する物件であり、単身者やDINKS、シニア世帯などがターゲットとされています。
コンパクトマンションは年々増加傾向にあります。特に近年はマンション価格の上昇によって、1戸当たりの価格を抑えるために面積を縮小することで、コンパクトマンションの数は上昇。2020年で発売戸数3,498戸、シェア12.8%と初めてシェアが10%を突破しました。さらに、2021年度から住宅ローン控除の対象が床面積(内法面積)40㎡以上の住戸へ緩和されたことも供給増を後押ししており、2021年は供給3,663戸、シェア10.9%。2022年は供給3,357戸、シェア11.4%と供給戸数は3年連続で3,000台に乗せ、シェアも3年連続で1割を上回っています。また、価格も上昇を続けており、2013年の平均価格は3,717万円でしたが、2022年は4,771万円で約1,000万円も上昇しています。一方で、平均専有面積は、地価高騰などの影響を受けて減少傾向にあるため、平均㎡単価に換算すると価格はかなり急上昇していると言えそうです。

首都圏コンパクトマンション 市区別上位10エリア

不動産経済研究所「首都圏・近畿圏コンパクトマンション供給動向」より作成

コンパクトマンションの供給をエリア別に見た際の上位10エリアが左記の通りです。
2022年の供給上位は渋谷区(221戸)、台東区(196戸)、横浜市中区(172戸)、豊島区 (153戸)、港区(137戸)でした。
エリアごとに色分けしてみると、投資用マンションや実需用の分譲マンションと違って、千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区などの都心5区が上位にあるのがコンパクトマンションの供給において特徴的な点であると言えます。
都心5区は、地価が高いこと、そもそも用地が少ないことなどの理由でマンションの分譲が少ないですが、専有面積の小さいコンパクトマンションは供給されているようです。
テレワークの浸透でより快適な住宅を求める需要があり、ワンルームよりもゆとりがあるコンパクトマンションは今後も単身者やDINKS、シニア世帯などからの需要が強くなりそうです。

定点観測データ

Ⅰ 首都圏中古マンション流通レポート

出典:(公財)東日本不動産流通機構

Ⅱ 近畿圏中古マンション流通レポート

出典:(公社)近畿圏不動産流通機構

Ⅲ 中部圏中古マンション流通レポート

出典:(公社)中部圏不動産流通機構

Ⅳ 福岡県中古マンション流通レポート

出典:(公社)西日本不動産流通機構

Ⅴ 貸家着工戸数

出典:国土交通省

Ⅵ 金利の推移

出典:財務省住宅金融支援機構

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書

「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。

レギュラー出演

ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

公式サイト

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