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不動産の基礎知識

2018/08/27

更地と同額の固定資産税がかかる特定空家とは

少子高齢化や人口減少が進む日本では約820万戸(総務省統計局による平成25年住宅・土地統計調査)の空家が存在します。実に総住宅数の13.5%が空家という計算です。増え続ける空家問題に対し、国では管理が行き届かず倒壊などの恐れがある空家を「特定空家」として指定。更地と同様の高額な固定資産税をかけて状況の打破を図っています。もし相続などで誰も住む予定のない空家を所有する予定がある場合は、対策が急務だと言えるでしょう。

空家所有に潜むリスクとは?

現在、増え続ける空家が社会問題となっていますが、その状況でも「うちは空家とは無縁」と考える方は少なくありません。しかし、少子高齢化を迎えている現代において、空家問題は誰にでも起こり得る問題なのです。たとえば、親から実家を相続した場合、住む人がいなければ当然、空家になります。また、現住所からその物件が遠方にある場合は管理や手入れが行き届かず、放置してしまうケースも珍しくありません。しかし、空家は放置することで倒壊、放火や犯罪の発生、不法投棄、景観の悪化などトラブルの温床となります。

2015年5月には、適切に管理されていないことで倒壊などのリスクがある空家やいわゆるゴミ屋敷のような衛生上有害となるような空家、著しく景観を損ねる空家、そのほか周辺の生活環境に悪影響を与えかねない空家が「特定空家」に指定されるようになりました。同時に更地と同様、通常の6倍もの固定資産税を課す「空家等対策特別措置法」も施行。空家の無責任な放置に対して所有者に高額な課税を行うことで、責任の所在をはっきりさせる動きが明確化しました。

空家は住民がいないだけであり、他人に迷惑をかけることはないと思われがちですが、存在するだけで地域社会の厳しい視線を向けられることもあります。もちろん、ひとたび放火や犯罪の発生、不法投棄、景観の悪化などのトラブルが発生すれば訴訟にも発展しかねません。


空家等対策特別措置法による行政指導の可能性

空家の所有自体がリスクだと言えますが、特に建物の劣化が進んで倒壊の危険性が認められる、特定空家に指定されたケースは注意が必要になります。なぜなら管轄の自治体から撤去命令が下る可能性があるからです。

万が一、撤去命令を受けた場合は、所有者には命令に従う以外の選択肢はありません。もし、命令に従わずにいると、強制執行となり最終的には解体撤去されることも十分にあり得ます。しかし、「取り壊すのであれば同じでは」と考えるのは早計です。なぜなら、所有者が自主的に解体撤去を実施すれば、多くの場合は自治体から費用の補助※がありますが、特定空家に指定されてしまうと補助は得られず、すべて自己負担となります。

つまり、行政から指導が入る前に対応しないと、結果的に自身にとって不利益になるのです。たとえば、実家の今後の対応については親族間で計画的な話し合いを持っておくべきでしょう。両親が不測の事態に陥ってから慌てるのではなく、将来を見据えて事前に相談するなど早めの対応を心がけることが重要です。

※各自治体は、耐震化促進事業などの一環として、解体費用を賄うための助成金制度を独自に定めています。詳細は管轄の市区町村にお問い合わせください。


相続後の活用計画が重要

親から相続した実家を空家のまま所有することには一切のメリットがありませんので、放置せずに何らかの対策を講じましょう。たとえば、築年数がそれほど経過していない場合や建物や内装の状態が十分良好な場合なら、賃貸も1つの方法です。家賃収入があればそれを固定資産税や都市計画税に充てることも、場合によってはプラスアルファを得ることもあります。また、中古物件として売却、あるいは不動産会社に買い取ってもらうなどの選択肢も検討すべきでしょう。

もし、倒壊の危険性が差し迫っている場合は、土地を売るにしても、新しく家を建てるにしても、特定空家に指定される前に自らの判断で早急に解体撤去を実施して更地にすることをおすすめします。ただし、更地は通常の6倍もの固定資産税が課され、都市計画税も相応に負担増になります。そのため、資材置き場として建設会社に土地を貸すなどして収益を確保し、固定資産税に充てるなどの方法もあるので、土地活用のプランをあらかじめ練っておきましょう。

いずれにせよ、親から実家を相続した場合、まず考えるべきは家と土地の活用法です。もちろん、将来、住む可能性がある場合や、どうしても手放せない場合は適切に修繕・リフォームしてコンディションを維持する必要があるでしょう。しかし、そうでない場合は賃貸にするか、売却・買取にするか、更地にしてそこから収益を上げるという選択肢から最善策を選ぶことが求められます。損をしてしまうのは、活用せず“放置”することです。


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