建物・土地活用ガイド

2017/09/11

生産性が高く収益を生める付加価値のある工場とは

企業の生産ラインとして重要な役割を果たしている工場は、稼働による生産性を高めて収益性を創出することが求められます。成果を上げるためにも、工場では効率的な生産ラインを実現することが重要課題です。大きな成果をあげている工場は、作業効率アップのための工夫を行っており、生産性が高く収益を生める機能的な工場は、設計段階から緻密な計算のもとにつくられています。

効率的に業務を行える作業環境の整備

企業の製品を生み出す工場は、設備が充実していることはもちろんのこと、勤務するスタッフにとって働きやすい環境が整っているかが重要なポイントとなります。優秀な人材を多くそろえていたとしても、その力を十二分に発揮できる工場環境でなければ、作業効率は決して上がりません。各人のポテンシャルを引き出す機能的な生産ラインであることが求められるのです。

たとえば、作業の把握がしやすいように視認性を高めたつくりになっていたり、それぞれの作業工程がスムーズに進行できるような配置計画がなされていたりすることが重要です。生産性や収益性の向上のためには、スタッフが高機能の設備をうまく使いこなし、的確な判断と意思疎通が取れる環境が求められます。そのため、一目で見てわかりやすい構造になっていたり、次にどのような動きをすればいいかが判断しやすかったりするつくりが理想的です。

生産コストを削減し、収益性のアップを図るためには単純に性能のいい機械を導入するだけでは解決しません。効率的に業務を行える作業環境の整備に目を向け、生産におけるヒト・モノの流れがスムーズになるように、設計段階から綿密な計画を行いましょう。

重要となる安全面と衛生面の確保

工場の生産性・収益性を高めるうえで、作業効率を高めることはもっとも重要ですが、働くスタッフを気遣ううえで求めたいのは、安全面と衛生面の確保です。どんなに効率がいい生産ラインだとしても、危険性を伴った作業が必要であったり、健康を害する危険性があったりする場合は、働くスタッフにとって幸せな環境ではありません。作業者にとっての安全面や衛生面の確保は、第一に求めるべき要素です。

たとえば、東日本大震災クラスの大型地震が発生した際でも、倒壊しない建物であることが当然求められます。また、災害発生時に工場の機能がストップしなければ、製品を生産し続けることができるため、収益性の確保にもつながります。建物が頑丈で安全性を確保できるつくりであれば、万が一の際もスタッフも安心できるでしょう。

そして、作業において安全面と並んで重要なのは、衛生面の確保です。器材や設備に悪影響を及ぼす可能性がある害虫などの侵入は絶対に防ぐ必要があります。特に食品などを扱う工場の場合は入念な対策が必要です。設計時に害虫の侵入・発生の危険性を想定し、被害をゼロにできるように動線設計することが求められます。

美観を意識して職場環境のイメージアップを

工場の生産性や収益性とはあまり関係のないように思われますが、建物の美観を長期間にわたりキープすることも付加価値を高めるうえで重要なファクターとなります。これは社内・社外両面のブランディングにつながることですが、企業イメージを向上させるためには、保有する施設の美観の維持・管理や適切なメンテナンスが欠かせません。

「●●会社の工場は老朽化が進んでいてなんだか不安」と思われるより、「●●会社の工場は見た目もきれいだしすごい設備が整っていそう」と客観的に感じてもらえる工場である方が、企業のイメージアップにつながることは間違いありません。また、働くスタッフにとっても、見た目がきれいな建物であることでモチベーションが向上したり、作業効率アップにつながったりすることが期待できます。誰だって古くて汚い工場より、新しくてきれいな工場で働きたいと考えるでしょう。

設備が優れているだけでは、生産性・収益性に優れた工場とは一概に言えません。働くスタッフにとって稼働しやすい仕様になっており、さらに気持ちよく快適に働ける美観も備えていることも必要な要素となります。つまり、工場において生産性を高めて収益性をあげるためには、事業計画に基づいた総合力の高い建物を設計・建築することが重要です。

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