建物・土地活用ガイド

2021/12/09

土地オーナーの為の税の基礎知識「不動産を取得するとかかる税について@」

土地オーナーの為の税の基礎知識の2回目をお届けします。今回は、不動産(建物含む)を取得するとかかる税についてです。

自身(自社)が所有する土地に新たな建物を建てたり、そこの賃貸住宅を建てたり、また新たな土地を購入したり、このような不動産を購入すると、いくつかの税金がかかります。

不動産取得税

まず、不動産を取得するとかかるのは「不動産取得税」です。

土地や建物といった不動産を取得(購入・建築・贈与・等価交換等により)するとかかる税金です。
総務省によれば「不動産取得税は、不動産の取得の背後にある担税力に着目して課される税です。現行の不動産取得税は、固定資産税の税率を引き下げることによりその不動産に対する将来にわたる固定資産税の負担の緩和を図るとともに、不動産を取得するという比較的担税力のある機会に相当の税負担を求める観点から、昭和29年度税制改正により道府県税として創設されました。」とサイトに記されています。

納める先は物件所在地の都道府県(税事務所)となります。オーナー様の所在地とは限らず、あくまでも物件のある都道府県です。ただし、相続した場合他一定の条件下では不動産取得税はかかりません。

原則として不動産取得税は、固定資産税評価額×税率で計算します。
税率は本来4%ですが、現在は時限的(令和6年3月末まで。延長される可能性もあります)に土地・家屋(住宅)では3%、家屋(非住宅)では4%となっています。固定資産税評価額は実際の購入費用や建築費用ではなく、あくまでも固定資産税台帳に登録された価格となります。また、いくつかの条件を満たせば固定資産税評価額が一部控除されたり、軽減措置が適用されたりすることもあります。

特例は以下の通りです。

1)住宅 ・課税標準の特例措置
新築住宅→1,200万円を控除
中古住宅→住宅の新築時期により最高1,200万円を控除
住宅用地 ・税額の減額措置(新築・中古とも)
150万円又は床面積の2倍の面積(200m2限度)に相当する土地の価格のいずれか大きい額に税率を乗じて得た額を減額

2)住宅用地・商業地等の特例 (平成6年創設)
住宅用地、商業地等の取得に係る課税標準としての価格を、評価額の1/2に圧縮

登録免許税

次にかかる税金は「登録免許税」です。

不動産を取得、建物を新築するなど、不動産の所有者を明記する仕組みが「登記」です。土地や建物の場合は「不動産登記簿」に「登記」する必要があります。

土地は基本的に誰か(個人・法人・国など)が所有しているものを購入するわけですから、土地を購入すると所有権移転が発生し、そのために「所有権移転登記」が必要となります。登記簿に掲載してもらう費用というべきものが「登録免許税」ということになります。
登録免許税は固定資産税評価額が基準となり、売買における取得では×1.5%となります(〜23年3月末日まで軽減税率期間中のため。通常は2%)。

相続により取得した土地の登録免許税は、通常は固定資産税評価額の0.4%ですが、現在は下記のように免除されています。以下は税務署パンフレットよりの引用です。
「相続(相続人に対する遺贈を含みます。以下同じです。)により土地の所有権を取得した個人が、その相続によるその土地の所有権の移転登記を受ける前に死亡した場合には、平成30年4月1日から令和4年3月31日までの間に、その死亡した個人をその土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さないこととされています」

賃貸住宅や自身で使用する戸建住宅等を新築した場合、あるいは分譲マンションや分譲住宅を購入した場合などに行う建物の登記が「所有権保存登記」です。これまでに登記されていなかった建物の所有権をはっきりさせるために行います。
この際にかかる登録免許税は固定資産税評価額×0.4%となっています。こちらも軽減税率が適用されます。以下、国税庁ホームページより引用です。
「個人が、令和4年3月31日までの間に住宅用家屋を新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得をし、自己の居住の用に供した場合の保存登記は、0.15%となります。」
ただし登記後の軽減税率の申請ができないことや、市区町村からの証明がいること、50u以上の建物であることなどの規定がありますので、注意してください。

次回は消費税についてお伝えします。

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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