建物・土地活用ガイド

建て替え・リニューアル法人の土地活用・建築

2021/09/27

企業の不動産戦略=CRE戦略 の概略

企業経営において、企業は何らかの形で不動産とかかわりを持ちます。企業活動とは、「不動産を活用して企業価値の最大化を図る」という行動を起こしているともいえるわけです。
高松建設マガジン「法人の土地活用・建築」においては、企業と不動産との関わり(CRE戦略)の基本的な考え方と、実践方法についてお伝えします。また、企業が所有する不動産の建替えや組み換えについて、加えて企業が行う賃貸住宅経営、あるいは社宅運営など企業が所有する賃貸住宅経営についても合わせて解説します。

不動産とのかかわりを強化する企業が増えている

2010年代に入り、不動産を再び所有する企業が増えています。

1990年代の終わりごろから2000年代前半にかけては、バブル後遺症の影響もあり、「持たざる経営」がもてはやされました。企業は、「大きな負債を背負ってまで不動産を所有する事はない。」あるいは、「所有しているもののうち、有効活用されていないものは、切り離す。」という「身軽な経営が良い」とされてきました。その後、ミニバブルと呼ばれた好景気から一転リーマンショックを経て景気は大きく落ち込みます。
しかし、2012年後半からは不動産市況が回復、2013年5月以降は金融緩和政策(=低金利誘導政策)が導入されました。時を同じくして企業業績も好転しはじめ、企業は投資に積極的になります。人材投資(採用)、設備投資、そして不動産購入(あるいは投資)などです。
この頃から、不動産とのかかわりを増やす企業が増えました。具体的には、オフィスを建て替えたり増床したり、新規ビルを購入したりあるいは建設したり、社宅を復活(購入、建替え、遊休地活用)したり、新たに土地を購入して賃貸住宅ビジネスを始める等々です。
こうした傾向の中で、「不動産を持たない」という思考から、「不動産を積極的に活用する」という思考の変化が起こります。こうした経過の中で、「企業はかかわりを持つ不動産に対して戦略を持たなければならない」ということが再び論じられ始めます。


企業の不動産戦略=CRE戦略

冒頭でも述べましたが、企業は不動産を所有しているいないにかかわらず、何らかの形で不動産とは関わりあっています。企業が関係する(所有する・使用する)不動産のことを、英語表記での頭文字をとってCRE(corporate Real Estate)といいます。日本では2007・8年頃から「CRE」という言われ方が徐々に広まってきました。CREとは「不動産そのもの」のことですので、「企業が関わる不動産をどう扱うか」ついてのあり方は、「CRE戦略」といういい方が相応しいと思います。

企業経営3つの戦略

企業不動産戦略(CRE戦略)考えるときに重要な事は、不動産を不動産単独で考えないということです。具体的には、経営戦略の一環としての不動産戦略であり、財務戦略の一環としての不動産戦略でなければならないという事です。

経営戦略 ×財務戦略 ×不動産戦略

3つの組み合わせで考えることが求められます。

3つの要素を具体的に述べると、

経営戦略とは、自社の強みをいかしながら、市場性、競合との関係を考慮しつつ、中長期の企業成長を考えることです。その際に、独自固有の長所があれば、強固な経営戦略が描けます。また、時流の変化に伴い、それに適合する柔軟さも求められます。この「時流適応の為の企業の変化」には時間を要することもあり、例えば、賃料収入のあるなんらかの不動産を所有(あるいは一部を貸す)しておけば、キャッシュフローの下支えにもなります。

財務戦略とは、借り入れ(主に金融機関等から)や、株式などでの資金調達をどう組み立てるかという事です。また、現在の借入状況、これからの本業においての設備投資等を見通し、数か年のキャッシュフローイメージを描きます。

そして、最後は不動産戦略です。オフィスビル、工場、店舗物件等の不動産を所有する、もしくは借りる、どちらが現状の自社には適しているのか?
遊休地は活用した方がいいのか?売却した方がいいのか?といったことを検討します。


中小企業経営における不動産戦略

これら3つの視点をまんべんなく検討して、「企業価値の最大化」を図るという事が「企業不動産戦略の構築」です。
たとえば、昨今、郊外や地方の中小企業は、後継者不足により、廃業やM&Aをする事例が増えています。
とくに増えているM&Aでは、中小企業が持つ不動産にスポットがあたり、意外に高額な売却値が付くこともあるようです。また、「企業が持つ遊休土地を売却する」という選択を取らず、そこに例えば賃貸住宅を建てて、賃料収入を得ることで、企業売却後も安定した収入を得るという方(=企業買収を行った経営者)もいらっしゃいます。このように、不動産を上手く活用すれば、企業経営に弾みがつくことは間違いありません。

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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