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不動産市況・最新トレンド賃貸住宅経営の基礎知識

2021/09/21

一括借り上げ(サブリース)契約は有効か?

賃貸住宅経営を行う方(企業)にとって、もっとも気になる事は空室が出ることでしょう。
経営をスタートする前(物件を建築する前)に綿密な収益シミュレーションを立てる際に、とくに築年数が進んだ時には空室確率を読み込み、またそれに伴う賃料下落確率も織り込むと思います。しかしそれ以上に空室が出れば、収益シミュレーションは大きく崩れます。賃料下落は、空室が出ることに起因しますので、やはり「空室が出ないように善処する」ことは賃貸住宅経営においては、必須です。
このようなリスクの回避策として、一括借り上げ(サブリース)契約があります。

サブリース契約で注意しておきたい事

サブリース契約は、主にサブリース会社(PM・管理会社)がオーナー様の物件を一括で借りる契約(マスターリース契約)を行い、物件入居者の方は、サブリース会社との間で賃貸借契約を交わすというものです。
このサブリース契約により、賃貸住宅オーナーの方は「サブリース会社に一括借り上げしてもらうことで、家賃が保証され、空室の心配がなく、賃貸住宅経営を安心して行うことができる」というメリットがあります。
しかし、一般的なサブリース契約は期間を定めた契約となるため、契約更新の際には契約家賃(保証される家賃)の減額といった可能性もあります。(最近は少ないようですが、「サブリース契約の更新が行われない」という可能性もゼロではないようです。)そうなれば、収益シミュレーションにおいては、借り入れ返済期間は30〜35年で設定されることが多いため、その全期間家賃保証が行われる、また経年に伴う家賃下落を盛り込んだシミレーションの想定内の家賃下落でなければ、収益が成り立たなくなってしまいます。

このようなことにならないためにも、サブリース契約前提の賃貸住宅経営を考えるのはリスクが高いと言えるでしょう。
つまり、考え方の順番として 1)選ばれる賃貸住宅を建てる2)一般管理の検討、 そして 必要ならば、必要と感じた時に、備えとしての 3)サブリース契約を結ぶ、この思考の順番こそが重要だと思います。


空室の出にくい賃貸住宅とは

こうして考えると、賃貸物件を探している方(入居希望者)に、選ばれる賃貸住宅を建築することが何よりも重要と言えます。

ここで、空室の出にくい賃貸住宅を建てる(購入する)ポイントを挙げてみます。

1) 入居者のニーズに応えた物件であること

具体的には
・外観の見栄えが良いこと
・収納スペースが多いこと、あるいは工夫された収納スペースが確保されていること
・水廻り設備のグレードが高いこと
などが挙げられます。

ここ20年、入居希望者が物件を選ぶ際は基本的にPCやスマホで検索することからスタートさせます。そのため、サイト上の写真で見栄えがする物件(とくに外観・水廻りなど)であることが求められます。

2) 周辺環境に応じた間取りであること

間取りは周辺環境に応じたものでなければいけません。例えば、大学や専門学校の近くではワンルームタイプ、住宅地ではファミリータイプといったことです。
また逆に、周囲にワンルームタイプの部屋が多く飽和しているような状況ですと、マーケット調査のもと1LDKや2LDKなどにするといった需要と供給のバランスを考慮します。

3) 賃料が適切であること

賃料設定を高くすると収益シミュレーションは良くなりますが、周辺賃料よりも大幅に高くすると入居者客付けが難航し、空室の確率があがります。とくに、新築時はあまり無理をしない賃料設定で、スタートする方がいいようです。というのも、新築時に空室が多いと、入居者の斡旋不動産会社から、「あの物件は不人気」という烙印を押され、その後に影響が出やすくなります。満室経営が続くようなら、ジワジワと周囲の物件の状況を見定めながら、賃料を上げるとよいでしょう。


サブリース契約は有用か?

サブリース契約における賃料契約は、例えば入居者に10万円で貸す部屋を、サブリース企業とオーナー様の間では9万円で契約するというイメージです。この場合は、サブリースにかかる費用は賃料の10%ということになります。サブリース契約を行うと、通常の管理(PM業務)は行ってもらえますが、例えば通常の管理費用が家賃の5%とすれば、残りの5%は空室や家賃下落のリスクに対する保険(保障費用)ということになります。(ここでの数字は、あくまでも一例で、計算しやすい数字で示しました。実際の%は、サブリース企業・サブリース契約により異なりますので、ご注意ください。)
こうして考えると、常に満室になるような物件では、「余分なお金を払っている」とも言えます。
そのため、好立地で需要旺盛エリアの賃貸住宅ならば、空室リスクが少なく、賃料の優位性もありますから、新築時から5〜10年くらいは、通常の管理契約(PM契約)だけを行い、その後の様子を見て考える、というのが賢いやり方なのかもしれません。

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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