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2021/06/30

世帯数の増加幅が拡大! 最新国勢調査から賃貸需要を予測

賃貸住宅需要は、人口や世帯数が大きな要因となります。
もう少し詳しく言うと、ファミリー向けの賃貸物件では世帯数が、ワンルームなどでは単身世帯数の動向が需要を大きく左右します。こうしたことから、今後賃貸住宅を所有しようと思う法人や個人の方にとっては、世帯数の動向が長期的に見ることができる国勢調査は重要なデータと言えるでしょう。
さて、21年6月25日、2020年に調査を行った国勢調査の速報値が発表されました。今回はこの速報値をもとに解説してみたいと思います。

国勢調査とは

昨年夏ごろに皆さんのご自宅にも国勢調査の封筒が届き、回答したものと思います。この国勢調査は1920年(大正9年)に開始され5年に1度5の倍数の年に行われる、日本で最も重要とされている統計調査です。今回は2020年分調査ということで、調査開始からちょうど100年にあたります。

国勢調査では、日本人に加えて日本に住む外国人に対しても行われます。調査集計項目は、人口・世帯数、その他として男女の別、出生の年月、就業状態、従業地または通学地、世帯構成、住居の種類、住宅の建て方などで、調査結果は、行政の政策、各種法令の制定その他様々な事に利用されます。

この度の速報結果では、人口や世帯に関する集計結果のみが公表されましたので、人口・世帯の順で解説します(その他の集計は21年11月頃から順次公開予定のようです)。

人口減少スピードは遅くなっている

2020年10月1日時点における日本の人口(外国人含む)は、約1億2622万人で前回調査(2015年)に比べて約86万8000人減少しました。
減少幅は、マイナス0.7%で前回の減少幅(2010−2015年)がマイナス0.8%でしたので、それよりも減少幅が小さくなりました。5年ごとでみる人口減少は2回連続ということになります。前回の減少人口がマイナス約96万2000人でしたので人数でも減少幅が少なくなっています。これは外国人居住者が増えていることが要因のようです。こうしてみると、日本居住者数(=人口)の減少のスピードは遅くなっているといえるでしょう。


都市部に人口は集中

近年の人口動態の特徴として大きいのは、大都市部への人口集中です。
東京都の人口は約1406万人(11.1%)、神奈川県924万人、埼玉県734万人、千葉県628万人で、首都圏1都3県で3693.9万人となり全人口の29.3%と3割近くが首都圏に住んでいることになります。1都3県に住む人口は、この5年で約80万人増加しました。なかでも、東京都は2010−15年の増加幅は2.7%でしたが、2015−20の増加幅は4.1%となり、増加幅が大きく伸びました。

1都3県に福岡県を加えた計5都県で人口増加の幅が大きくなっています。福岡県は九州の中での東京的な位置づけになりつつあるようです。

また、近年人口増加が目立っていた滋賀県や沖縄県、愛知県では人口増加の幅が小さくなり、勢いに陰りが見えた状況です。一方、首都圏などへの人口流出が目立っていた大阪府では、人口減少から増加へ転じ、人口における関西の地盤沈下が収まりつつあるようです。大阪府は3番目に人口が多く884万人、兵庫県は7番目に人口が多く546万人となっています。首都圏への集中が言われていますが、やはり関西にはかなりの方々が住んでいるといます。
全国では、9都府県が人口増加で、残り38道府県の人口が減少しています。

地方都市の人口減少は進むが、エリア内での明暗も

地方都市の多くは人口減少幅が大きくなりました。こうした地域では、その地域の中での人口移動も多く、各地域の中心地や利便性のよい都市では人口増加になっています。地方都市でのこうした人口集中地域では、流入者も多いことから、さらに賃貸住宅需要の高まりが起こることが予想されます。

このように、人口減少が進む地方都市でもエリアによっては、賃貸住宅需要が大きくなると思われます。


世帯について

次に世帯の集計結果です。
2020年10月1日時点での日本の世帯数は約5572万世帯、この5年で約227万1000世帯増加しました。増加率はプラス4.2%となっています。

世帯数は、一貫して増加しており、前回(2010年―15年)の増加幅は2.9%でしたが、今回の増加幅は4.2%と大きくなりました。これは核家族化がさらに進み、加えて単身世帯がかなり増加していることが要因だと推測されます。1世帯当たりの平均構成数は2.27人となっており、一貫して減少しています。1995年調査で初めて3を下回りましたが、この25年でさらに構成人員が減っている状況が浮き彫りとなっています。
東京都では1世帯当たり人員は1.95人と史上初めて2を下回り、東京に住む単身世帯の多さがうかがえます。関西では大阪府が2.14人で最も少なく、京都府が2.17と全国平均を下回っています。

都道府県別にみると、世帯数が最も増えたのは沖縄県で次いで東京都となっており、6県以外の41道府県で世帯数は増加しています。

世帯数と賃貸住宅需要

住宅需要は人口以上に世帯数が大きな要因となります。人口減少が進む日本ですが、世帯数は増加しており、また世帯数の増加幅も大きくなりました。

また単身世帯の60〜75%(地域により異なる)程度は賃貸住宅に暮らしています(今回調査速報版では結果公表がないため前回調査の数字)。世帯数の増加の大きな要因は単身世帯の増加だと思われますので、こうしたことを合わせて考えると、大都市はもちろん地方都市における利便性の良い場所などにおいても今後も賃貸住宅需要は増えるものと思われます。

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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