建物・土地活用ガイド

2018/09/03

土地や不動産において等価交換する利点とは

土地活用の方法として多くの方がイメージするのは売却や賃貸でしょう。それらは譲渡益(=キャピタルゲイン)や家賃収入(=インカムゲイン)を得るオーソドックスな運用スタイルですが、そのどちらとも異なる活用法が「等価交換」です。所有する土地にマンションやオフィスビルを建て、土地の評価額に相当する建物や土地の一部を等価の区分所有権と交換します。自己資金がなくても建替が可能で税制上有利など、さまざまなメリットが得られる可能性がある選択肢です。

まずは知りたい等価交換という手法

都市部など比較的立地の良いエリアの土地を所有している場合、デベロッパーと呼ばれる不動産開発業者から「等価交換を利用してマンションを建てましょう」などの話を持ちかけられるケースがあります。等価交換方式とは、文字通り同程度の価値のものを交換することを意味します。つまり、このケースでは、「あなたの土地にマンションを建てさせてもらう代わりに、土地の評価額に相当する居住部分を提供します」と、デベロッパーが地主(土地所有者)に提案するシーンが想像できるでしょう。

したがって、交渉成立して建物が完成すると、地主は土地譲渡代金に見合う建物の持分を所有することになります。要するに土地と区分所有建物の交換が行われたことになります。なお、この場合はマンションを例にしましたが、オフィスビル、商業ビル、倉庫などを建てる場合でも仕組みは同様です。

等価交換で注目すべきは、地主がマンションの持分を所有するのに自己資金の持ち出しが一切ないことです。等価交換なので当たり前ですが、建物の建築に適した土地さえあれば、預貯金を取り崩したり、ローンを組んだりせずに新たな不動産(ここではマンションの一部)を手に入れられます。また、必要であれば多少の自己資金を上乗せしてさらに多くの持分を得ることも、持分を減らしてその差額分を現金で受け取ることも可能です。応用が利く点も等価交換方式の特色と言えるでしょう。

等価交換のメリット・デメリット

等価交換は自己資金の持ち出しゼロでも不動産の一部が手に入るだけではなく、住宅ローンの支払いがないので家計への負担も軽減できます。また、マンションやオフィスを賃貸する場合なら、月々の返済がない分、収益が多くなり経営も安定します。それまで広い土地を持ちながら、駐車場経営などの活用しかしていなかった場合でも、等価交換によってより付加価値の高い資産に転換できる点も見逃せません。単に土地がある場合とは異なり、建物があるため固定資産税の点でも有利です。

税制面では他にも大きなメリットがあります。それが「立体買換えの特例」です。等価交換方式は土地を譲渡する点は売却と変わりません。つまり、交換した持分が譲渡益とみなされるので、本来ならそこに課税が生じます。ところが、一定の条件を満たせば、譲渡所得税を全額繰り延べることができます。それが立体買換えの特例です。ただし、課税が消滅するのではなくあくまで繰り延べなので、将来、売却する際に等価交換で繰り延べた分の税を支払う必要がある点は注意しましょう。

それ以外にも、等価交換を利用する際には減価償却が制限される点も認識すべきです。立体買換えの特例を適用した場合、土地譲渡時の税金は確かに繰り延べられます。しかし、交換した資産の取得費は実際の建築価額とはみなされず、譲渡土地の取得価額を基礎とした低い金額になります。当然、その建物の持分がオフィスや店舗、賃貸物件など事業用途の場合には減価償却費が少なくなるので、中長期的に見ると所得税の負担が大きくなります。

等価交換をおすすめするケースとは

メリット・デメリット相半ばする等価交換方式ですが、現在所有している土地・建物などの不動産がより価値を生む可能性があれば活用すべきでしょう。特に広い土地がありながら駐車場として利用している場合などは、等価交換でより有益な活用が期待できます。

また、底地や借地関係にある不動産を所有している場合は、等価交換で契約を解消することもできます。さらに共有名義の不動産をビルやマンションにすることで、建物を区分所有することになり単独名義とすることも可能です。

このように不動産が本来持つポテンシャルを活かし、より最適な活用を可能にするのが「等価交換方式」と言えます。現状の土地活用に満足しておらず、疑問や不安を抱いている場合は、等価交換による新たな活用を模索してはいかがでしょうか。より有効な土地活用が行えるかもしれません。

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