TOPICS① 全国主要都市のマンション化率の推移
様々な要因から都市部では戸建志向が減り、マンションに住む世帯が増えていますが、主要都市ではどれくらいの割合でマンションに住んでいるのでしょう。
(株)東京カンテイが24年1月31日に発表した全国の世帯数に占める分譲マンションの戸数の割合=「マンション化率」は13.01%でした。
マンション化率は、マンションストック数÷世帯数で算出されます。なお、分譲マンションは、1棟のマンションを各区分に分けて1住戸ずつ販売されているマンションのことです。
居住用と賃貸用(投資用)がありますが、ともに分譲マンションと呼ばれます。
以下、東京カンテイのデータをもとに、全国主要都市のマンション化率の推移を見てみましょう。
■マンション化率の推移(全国・東京23区・大阪市・名古屋市・福岡市)
株式会社東京カンテイ「Kantei eye」より作成
グラフは、2015年から23年までの全国・東京23区・大阪市・名古屋市・福岡市におけるマンション化率の推移を示しています。再開発が全国的に進んでおり、地方でも駅前にタワーマンションが増えてきました。
全国で、分譲マンションに住む世帯の割合は15年には12.21%でしたが、23年には13.01%と1.2%増えました。東京23区は、2000年以降分譲マンションの供給数が増えました。このところ供給数はやや減少していますが、それでもマンション化率は上昇を続けており23年には32.66%で15年に比べて2.3ポイント増えました。3世帯に1世帯は分譲マンションに住んでいる計算になります。かねてからマンションが多い地域として知られる福岡市ですが、ここ10年での増加は0.8ポイントにとどまっています。
一方でここ10年市内中心部で一気にタワーマンションが供給された大阪市では15年は26.40%でしたが、23年には29.91%と3.5ポイント増え、主要都市の中では最も分譲マンションに住む世帯の割合が増えた都市ということになっています。
万博やIR施設オープンを控えた大阪では、この先も大阪市内の中心部あるキタ・ミナミ地域はもちろん、その周辺部でも分譲マンションの供給は増えると予想されます。また分譲マンション価格がより一層上昇すれば、それに伴い賃貸マンション需要も高まりを見せるものと思われます。
TOPICS② 関西主要3都市の地価動向
3月26日に地価公示が国土交通省より発表されました。24年の地価公示の全国の分析は、髙松建設マガジン(アドレ貼り付け)に掲載しておりますので、ご覧いただくとして、ここでは関西の3都市(大阪市・京都市・神戸市)の地価動向について分析してみたいと思います。(データは国土交通省令和6年「地価公示」より)
■関西主要都市公示地価 変動率(住宅地:2020年~24年)
上図は2020年から24年までの5年間の大阪市・京都市・神戸市の住宅地地価の変動率の推移です。
(注:地価公示の価格時点は1月1日のため、2020年は新型コロナウイルスの影響を受けていない状況での鑑定評価となっています。以下同じ)
24年の地価公示では、大阪市は+3.7%(前年は1.6%)、京都市+2.5%(前年は1.2%)、神戸市+2.1%(前年は1.2%)となりました。
コロナ禍の影響を強く受けた21年には、三都市ともそろって、マイナスとなりましたが、そこから順調に上昇率を拡大させ、三都市ともコロナ禍前の2020年を超える上昇幅となっています。25年も引き続き上昇が見込まれます。
■関西主要都市公示地価 変動率(商業地:2020年~24年)
商業地では、大阪市は+9.4%(前年は3.3%)京都市+6.6%(前年は3.3%)、神戸市+4.3%(前年は+4.1%)となりました。
観光地として人気のある関西三都市のため、インバウンド需要など観光需要が大きく減り影響が大きく出ました。
そのため商業地地価はそれまで(20年)までは勢いよく上昇していたことろから一転マイナスとなりました。
23年に入り、順調に上昇基調となっており伸び幅も拡大しています。ただし、コロナ禍前(20年)の上昇率までには回復していません。
しかし、すでに国内外の観光客は戻っており、また25年には万博の開催、その後にはIRもオープンすることが来まっており、来年以降も関西主要都市の商業地の地価上昇幅の拡大は確実でしょう。
定点観測データ
Ⅰ 首都圏中古マンション流通レポート
Ⅱ 近畿圏中古マンション流通レポート
Ⅲ 中部圏中古マンション流通レポート
Ⅳ 福岡県中古マンション流通レポート
Ⅴ 貸家着工戸数
出典:国土交通省
Ⅵ 金利の推移

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
疑問に思うこと、お困りごとなど、まずはお気軽にご相談ください