建物・土地活用ガイド

2017/11/27

機能的な倉庫レイアウトで変わる業務効率

倉庫を”ただの物置き”として考えるのが時代遅れになりつつあります。保管場所としてはもちろんですが、ビジネスの起点としての機能性が以前よりも求められるようになってきました。そうしたニーズの変化に対応するためにも必要なのが倉庫のレイアウト計画です。ピッキングや検品作業を行ううえで、スピーディーかつ確実な商品発送で作業のムダを省いて人件費を抑えるためにも、倉庫レイアウトを見直すことには大きな意味があります。

倉庫レイアウトで意識すべき動線・保管場所

倉庫内でのピッキング作業は、個人の能力だけでは成果が変動しにくい反面、マニュアル変更やレイアウトの見直しによって業務効率が大きく変わります。商品や棚のレイアウトによってはスタッフの負担が増えたり、運搬作業に混乱が生じたりする可能性もあるでしょう。そのため、設計時に物流施設としての機能も意識したうえで、動線や保管場所に考慮した綿密な計画が必要です。

それぞれの商品の保管場所は、出荷頻度に応じて商品単位で検討すべきでしょう。半年に1個しか売れない商品と1日に10個売れる商品を同じ棚で管理するより、1日に10個売れる商品をメーカーや品番を問わずまとめた方がピッキング作業は楽になります。出荷頻度の高い商品は、他の商品をピッキングする道中で1度は通る出入り口やメイン通路に面した位置に配置するといいでしょう。

また、直進で済むルートを遠回りさせられたり、前工程の人の作業が終わるまで移動を待たされたりすることは意欲あるスタッフにとって大きなストレスになります。通路が少ないことで折り返しの移動が必要になる場合は、棚を通路から離して新しい動線を設けるなど、移動距離が最短になるようレイアウトを工夫によって二度手間を省くことで、スタッフのモチベーション維持にもつながります。

規模の大小問わず重要なレイアウト計画

倉庫内の作業動線は納品、仕分け、保管の入荷業務から、受注、ピッキング、梱包、発送の出荷業務まで、商品を一筆書きのように移動できることが理想です。しかし、日常の業務を止めることなく運用中の倉庫レイアウトを変更することは容易ではないので、物流センターや倉庫などを新たに建てる場合は、設計の段階で綿密な計画を練る必要があります。

商品を運ぶためにフォークリフトや大きなコンテナを使う業種においては、重機が通路をすれ違えるか、またはすれ違わなくても済むように動線を考えて棚などを設置しなければなりません。しかし、季節によって取り扱う商品の内容や量が変わる場合、特定の期間だけの想定では年間を通して機能する倉庫のレイアウト計画としては不十分です。季節や時代の変化にも対応できる万能な倉庫を建てるためには、棚板つきカゴ車やパレットなど可動式の棚の設置も選択肢の1つでしょう。

また、扱う商品が書籍や文房具などの1つひとつが軽量なものの場合は、ピッキング作業を人の手だけで行うことができます。少容積の商品には小物専用棚や多段ラックなどの保管機器を利用して、限られた床面積で多くの商品を管理できる保管方法を検討しましょう。

ピッキング作業の効率化のポイントとは

受注から発送までの時間を短縮できれば、お客様により早く商品を届けられるだけでなく、人件費を適切に削減することもできるでしょう。煩雑な倉庫内の業務を効率化するためには、棚のレイアウトや通路幅、商品の保管位置の変更によって「待つ→考える→移動する→探す→取る」という5つの工程からムダをそぎ落とすことがポイントです。

ピッキング作業効率化のために必要な努力はレイアウト変更だけではありません。「入荷と出荷の時間が重ならないように調整する」「配送準備が整ったものはすぐに集荷してもらう」など、取引先との協力も不可欠となります。商品やスタッフがある工程で滞留しないよう、作業配分や人員配置には常に気を配り、管理者の視点から業務効率向上を目指しましょう。

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