建物・土地活用ガイド

2023/11/07

企業の不動産戦略と地方都市の再開発に伴う地価上昇

地方主要都市の地価上昇

大都市だけでなく、地方都市の地価上昇も顕著になってきました。9月19日に公表された2023年基準地価の県庁所在地別上昇率は、住宅地・商業地ともに1位が札幌市(住宅地+12.5%、商業地+11.9%)、2位はともに福岡市(住宅地+8.2%、商業地+11.2%)となっており、3年連続して札幌市・福岡市が1位2位を分け合っている状況です。
これら2都市に仙台市・広島市を加えた4市は「地方4市」と呼ばれており、その2023年基準地価の平均上昇率は住宅地+7.5%、商業地+9.0%と、三大都市圏平均(住宅地+2.2%、商業地+4.0%)を大きく上回っています。
また、地方4市の地価上昇に伴い、その周辺地域にも地価上昇は波及しています。地方4市を除いた「その他地方圏」においても、全用途平均±0%、住宅地−0.2%、商業地+0.1%と、かなり久しぶりのプラスとなりました。

進む地方都市の再開発

札幌市も福岡市も街のあちこちで再開発が行われています。札幌市では「北海道の東京」と化しており、道内からの人口流入が進んでいます。同様に福岡市は「九州の東京」化が進んでいます。札幌市内、福岡市内やその周辺地域では、列挙するとキリがないくらいビル・商業施設の建替えや新設などが行われ、あるいは計画されています。そういった施設とともに、市街地にいくつものタワーマンション開発が進み、マンション価格が高騰しています。
事業会社が持つ小さなビルなどは、大規模開発を主導するデベロッパー(あるいは事業組合)に売却や等価交換したりして、生まれ変わっている事例も多く見られます。
こうした地域に不動産を持っている企業は、保有不動産をどう活用するか悩んでいるようです。

不動産管理部門担当者の悩み

ここからは不動産管理をしている想定で総務部門担当者の会話をベースに考えてみましょう。

担当者A

ウチの会社の周辺もどんどん新しいビルが増えているね

このあたりで古くて低いビルはウチくらいです
再開発計画がそばであるみたいで、デベロッパーの方が相談に来ましたね

担当者B

担当者A

社長も悩んでいるようだよ。先代が建てた社屋だからね

いいチャンスだと思うんですけど…
思い切って、自社で大きなビルへの建て替えを考えてもいいような気もします

担当者B

担当者A

悩ましいね。大きなビルを建てて、自社で利用しないフロアを貸したら賃料収入も見込めるだろうけど…
どこか相談に乗ってくれる会社ないかな

なかなか難しい問題です。この企業が置かれている状況(経営状況、財務状況、産業の将来性)など、多方面からの検討が必要な局面です。

高度利用と容積率の消化の圧力

5階建て※1だった東京駅丸の内口前の旧東京中央郵便局は、38階建て※1のJPタワー(KITTE)に建て替えられましたね
丸の内のビルが高層ビルに建て替えられていく中、歴史があっていい味を出していた建物でしたが…

担当者B

担当者A

旧東京中央郵便局は「日本の近代建築20選」にも選ばれた建物で、局舎の一部を保存する形で新しい高層ビルが建てられたんだったね
当時の総務大臣が物言いをつけて話題になったっけ

超一等地は高度利用すべきということで、容積率を消化した建物の建築が勧められているんでしょうね
ウチの周りも高層ビルが増えていて、同じような状況になりつつあります

担当者B

担当者A

そうだね。日本の都市部はその傾向にあるね
例えばパリ中心部では25m(郊外は31m)の高さ制限があるけど、日本にはないからね※2

※1 旧東京中央郵便局、JPタワーとも地上部分の階数。
  (旧東京中央郵便局は地下1階地上5階、JPタワーは地下4階地上38階)
  JPタワーの詳細は日本郵政不動産のページをご覧下さい。

※2 地方自治体による。また、空港から24km以内の地域は高さの規制がある。

事業会社の不動産戦略の難しさ

事業会社が保有する社屋などが周辺の再開発の波にさらされる事例は、大都市の東京や大阪だけでなく地方都市でも増えています。周辺を開発するデベロッパーから一体開発※参加へ声をかけられたとしても、なかなか簡単に回答できないものです。

自社単独で現在の社屋を上回る規模のビルに建て替えることを検討する場合でも、財務状況・売り上げの見通しなどを総合的に判断する必要があります。建て替え資金の返済計画と合わせて、「自社が使わないスペースのリーシングをどうするか」「どれくらいの収益が見込めるのか」も検討する必要があります。

このような状況でお悩みの企業は、建築に関するコンサルティングも行う松建設などの実績豊富な建設会社に相談してみるといいでしょう。

※隣接、または近接する複数の土地における開発行為等が、総合的に判断して一体的な開発行為と認められる場合などのこと。

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吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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