建物・土地活用ガイド

2023/04/20

民法改正で共有名義の土地の分割・用途変更が円滑に

2023年(令和5年)4月1日から民法の一部が改正されました。民法制定から125年を超え、その多くの規定が改正されないまま運用されていましたが、昨今「時世にそぐわない」法律が散見され徐々に改正が行われています。

不動産に関する民法改正では、2020年に賃貸借契約についての改正が行われ、時代に即したものに変更されました。「賃貸住宅経営」を行うオーナーや関係企業は、対応に追われました。

これまで土地に関する改正はあまり行われてきませんでしたが、「所有者不明土地問題」を契機に現行民法の規律が現代の社会経済情勢にそぐわないことが顕在化しており、これからいくつかの法律が改正されます。

今回は3つの「土地に関する」法律の改正について解説します。
 @ 「共有物(=共有名義の土地など)の変更・管理の見直し」(23年4月1日から)
 A 「相続登記の義務化」(24年4月1日から)
 B 「相続土地国庫帰納制度」(23年4月27日から)


法務省 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し

多くの省庁を巻き込んでの改革

地方都市を中心として、人口の減少や高齢化の進展、地方から都市部への人口移動等が進み、土地を利用したいというニーズが低下する中で土地の所有意識が希薄化しており、いわゆる「所有者不明土地」が全国的に増加しています。
地方都市だけでなく都市部においても、相続未登記状態にある土地が見られます。これらの土地では、何度かの相続により相続人が多数になっていることや、相続人間の関係が希薄になっていることなどから、相続人の一部の所在等が不明となっている状況も見られます。
土地の有効利用に支障をきたし大きな問題となっている「所有者不明土地」ですが、この問題の解決のために、国土交通省や法務省など複数の関係省庁、地方自治体が対応策に乗り出しています。

@共有名義の土地の用途変更が過半数の同意で可能に

共有者が土地の所在地から遠く離れていたり、共有者間の人的関係が希薄化したりしている場合、共有者間で土地の売却などの意思決定を得ることが困難になっている例が見られます。
例えば複数人名義で共有している農地を宅地に変更するような場合、これまでは共有者全員の同意が必要でした。このような状況下では用途変更(売却・収用など含む)に必要な共有者全員の同意を取り付けることが困難となり、土地の利用が促進されません。

そこで2023年4月1日より、複数人で共有する土地に変更を加える行為であっても、形状又は効用の著しい変更を伴わないもの(軽微変更)については、持分の過半数で決定することができることになりました。
同時に法務省通達という形で土地の分割もこの軽微変更に含まれ、共有する土地について過半数の同意があれば分割が可能となりました。例えば、分割した所有地部分だけを売却することができます。
共有者間で意思決定が困難な土地の問題は、相続に限らず共有名義となっている土地ではどこでも発生し得るため、これまで活用されていなかった共有名義の土地の円滑な利用が期待されます。

共有名義の土地を分割することで「自分の所有部分を有効活用しよう」「売却しよう」という土地の利用が促進されます。地方だけでなく、都市部でもみられた「共有名義の土地が上手く活用できない」という問題が解決へ向かうことでしょう。

A2024年から義務化される相続登記

ここまで述べた「共有者間の意思決定」の最たる問題が「誰が所有者か分からない」というもので、その根本にあるのが「相続登記や住所等の変更登記がされていない」状況です。
本改正についての法務省の資料などを見ていると「必要な調査を尽くしても〇・〇・〇の所在が不明である場合に…」という文言が多く出てきます。そんな状況を未然に防ぐために新たな法律が施行されます。

それが相続未登記状態を解消するために2024年(令和6年)4月1日より施行される、相続登記の申請の義務化です。
不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。また、遺産分割協議の成立により不動産を取得した相続人は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記の申請をしなければならないことになります。

B相続土地国庫帰納制度もスタート

過疎化が進む地方などでは「土地の相続」がスムーズにいかない別の理由があります。「遠くに住んでいて利用する予定がない」「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」といった理由で、相続した土地を手放したいという要望です。
そこで、2023年(令和5年)4月27日から相続土地国庫帰納制度が導入されます。相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る)により取得した土地を手放して、国庫に帰属させることができる制度です。ただし、建物がある土地、他人によって使用される土地などはこの制度が利用できないほか、10年分の土地管理費相当額の負担金や審査手数料などの納付が必要となります。

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吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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