建物・土地活用ガイド

2023/03/20

決算が近い企業必読!建物の維持や解体に関する費用は経費で落とせるか?

決算が近くなると、あわてて建物修理などを行う企業が増えます。利益圧縮のために、経費を年度内に処理しようという思惑でしょう。
しかし、適切な会計ルールに則った経費算入をしなければあとで指摘を受けることもありますので、きちんと理解しておきましょう。

建物の見直しでの決算対策

日本の会計年度や教育機関の年度は、4月1日〜3月31日となっています。それに合わせて、企業においても大手企業を中心に4月1日始まり3月末決算が圧倒的多数を占めています。(ちなみに、アメリカやヨーロッパ各国の年度は9月始まりが多い)
3月に入ると決算前ということで、利益圧縮→法人税の圧縮を考える企業が増えてきます。また、予算組みがキッチリしている大手企業や行政機関では、この時期になると「予算を使い切る」ことを考えるところも多いようです。
予算を使い切る、あるいは利益圧縮のために経費を使う、というアクションで自社所有の建物や不動産に目を向ける企業も多いのではないでしょうか。

建物の修理修繕

老朽化した建物の補修工事・修理・修繕・メンテナンスにかかる費用は経費となりますので、決算前に行えば、その期に損金算入できます。しかし、すべてを経費算入できるかといえば、そうではありません。たとえば部屋の用途変更や扉の取り換えなど、建物の寿命を延ばすような修繕工事、資産価値を上げる修理修繕などは「資本的支出」と呼ばれ資産計上せねばならず、減価償却の対象になりますが、経費算入は難しくなります。

国税庁の通達によれば、資本的支出は「法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となる」とされています。「どこまでが資本的支出で、どこまでが修理修繕か」はなかなか判断の難しいところです。
特に難しいと言われる例として、外壁塗装、外壁補修などは「どこまでが補修のための塗装」で「どこまでが資産価値をあげる塗装」なのか分かりにくいところです。

このように、「修繕費」として計上できるか、資本的支出とみなされるのかが不明な場合、
 (1)その金額の30%相当額
 (2)その修理・改良等をした固定資産の前期末取得価額の10%相当額

のいずれか少ない金額を修繕費とし、残りを資本的支出とするという簡易ルールも存在しています。
国税庁「資本的支出と修繕費の区分の特例」

しかし、いろいろと条件もありますので、顧問税理士に相談すると良いでしょう。

一方、決算期は経費の観点からも自社で所有する建物を見直すにふさわしい時期とも言えます。老朽化した建物をどう活かすか、どう修理修繕するか、耐震性は大丈夫か、などのご相談はぜひ経験が豊富な高松建設にご相談ください。

建物土地一体で購入した時の解体費用

購入した土地+建物の解体費用は、経費で一括して落とせるのでしょうか?

国税庁のHP「よくある税の質問」に下記の記述があります。

初めは建物を事業に使用する目的で取得したが、その後やむを得ない理由が生じたことにより、その使用をあきらめなければならないような場合には、その取得後おおむね1年以内にその建物を取り壊したときであっても、その建物の帳簿価額と取壊費用の合計額は、土地の取得価額に含めないで、取り壊したときの損金の額に算入することができます。

出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)」

一方、初めから取り壊す前提で購入した場合の建物解体費用は土地取得費に算入されます。「古家付き土地」のように販売されている物件がありますが、このような物件を購入した場合がこれにあたります。

法人が建物の敷地を建物とともに取得した場合または自社の土地の上にある借地人の建物を取得した場合で、その取得後おおむね1年以内にその建物の取壊しに着手するなど、初めからその建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかな場合には、その建物の取壊しのときの帳簿価額と取壊費用の合計額(廃材の処分によって得た金額があるときは、それを控除した金額)は、その土地の取得価額に算入することとされています。

出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)」

※税制度は毎年変更されていますので、必ず最新の情報を入手してください。
※税制度には特例などがあり、適用される場合やそうでない場合もあります。詳しくは専門家にご相談ください。

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吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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