建物・土地活用ガイド

2022/08/05

2022年7月 高松建設不動産市況レポート

米国はFOMC(連邦公開市場委員会)の開催ごとに政策金利が上昇していますが、日銀は金融緩和政策を続けることを明言し、我が国ではまだしばらく超低金利が続きそうです。このため円安傾向はしばらく続く見込みで、それに伴うコストプッシュ型の物価上昇が続くでしょう。
世界全体では、利上げの影響で急上昇気運が収まる方向に向かうと思われます。しばらくコロナショック後の混乱する経済が続くと思われます。

TOPICS@ データで見る「再加熱する不動産投資」

日銀は7月21日金融緩和政策決定会合を受けて、「経済の回復を支えるため、金利を低く抑える今の大規模な金融緩和策を続ける」ことを決めました。海外の利上げが相次ぎ、不動産投資家の方々にとっての大きな懸念材料のひとつである「金利上昇」の可能性は、ひとまずは落ち着いたと言えそうです。
一方で、国内の不動産市場はいまだ活況が続いている状況です。融資の側面から、再加熱の様相の不動産投資についてみていきたいと思います。

■不動産業向け融資残高の推移


日本銀行資料より作成

日銀の金融緩和、低金利を背景に不動産業向け融資が過熱してきた中、2018年に投資用物件での不正融資問題が相次いで浮上。その後、金融庁の監視強化で銀行が融資に慎重になっていました。更にコロナ禍で融資の伸び率は減少傾向になっていましたが、ここに来て再び上昇基調となってきました。不動産投資の需要が高まるなかで、銀行も不動産業への融資を拡大させているようです。
それでは、個人向けの不動産投資に関する融資はどうでしょうか?

■個人による貸家業に対する設備資金新規貸出


日本銀行資料より作成

上記は、個人の貸家業(マンション建築・経営など)に対する新規融資の推移を表したグラフです。先述の通り、不正融資問題を発端に、個人への新規貸出も減少していましたが、コロナ禍以降、上昇に転じています。個人不動産投資家による不動産投資が再度加熱しているのが分かります。また、円安の影響を受けて海外の不動産投資家も日本不動産に多数参入してきています。首都圏や近畿圏などの都市部のマンション価格は、新築・中古ともに、コロナ禍にありながらも上昇を続けている状況です。さらに、日銀の金融緩和策続投の報道を受け、益々不動産投資に対する注目は集まると考えられます。

TOPICSA 相続税に直接関係する路線価とは…?

7月1日に、国税庁より最新2022年分の路線価が発表されました。2022年の対前年変動率の全国平均は0.5%の上昇となり、2年ぶりに上昇に転じました。この路線価は、相続税や贈与税を算定するための基準となる重要な指標であり、毎年1月1日時点を基準として算出されています。土地は「一物四価」と呼ばれており、路線価は、公示地価の80%程度が目安となっていると言われています。

なぜ路線価が、公示地価の80%という目安となっているのでしょう。もし、公示価格と路線価が同じ価格だったら、売り手と買い手の事情や情勢に応じて決まる「取引価格」よりも路線価の方が大きくなってしまう可能性があるからです。このように納税者の負担が過剰になってしまうのを防ぐために、地価公示よりも低い価格で設定されています。

地価公示は3月下旬、路線価は7月1日に発表されますが、基準となるのはどちらも1月1日です。下の図表は、県庁所在地の中で路線価最高地点の価格推移とその地点が属する行政区の地価公示(商業地)の平均の推移を比較したものです。

■路線価と地価公示の推移


国税庁資料国土交通省「地価公示」より作成

どちらも同じ「土地」に対する価格であり、同じエリア、同じ時点での価格のため、ほぼ同じ動きを見せています。相関係数も東京0.97、名古屋、大阪ともに0.99と当然ながら数値としても高く出ています。

最後に、それぞれの都市の推移について見ていきましょう。東京の銀座中央通りの地点は、言わずと知れた「鳩居堂前」で1平米あたり4224万円で37連続の全国トップです。コロナ禍を経て2021年は減少、2022年も減少しましたが、下落幅は縮小しています。
愛知県トップは名古屋市中村区名駅1丁目「名駅通り」の1平方mあたり1248万円で、リモートワークの推進でオフィス需要は低迷したものの、住宅需要などが堅調で2年振りに上昇に転じました。
大阪・梅田の阪急百貨店前の御堂筋は1896万円で、39年連続で近畿地方では最高となりましたが、去年を4%下回り2年連続で下落しており、外国人観光客への依存度が高い大阪で明暗が分かれた形となりました。

定点観測データ

T 首都圏中古マンション流通レポート

出典:(公財)東日本不動産流通機構

U 近畿圏中古マンション流通レポート

出典:(公社)近畿圏不動産流通機構

V 中部圏中古マンション流通レポート

出典:(公社)中部圏不動産流通機構

W 貸家着工戸数

出典:国土交通省

X 金利の推移

出典:財務省住宅金融支援機構

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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