建物・土地活用ガイド

2022/06/06

2022年5月 高松建設不動産市況レポート

米国での住宅ローン金利はすでに5%を超え、上昇に拍車がかかってきました。米国住宅価格の上昇は続いていますが、一方で新築住宅着工件数や中古住宅契約件数の上昇には歯止めがかかってきています。
一方日本では昨年来、新築住宅着工件数は増え、とくに貸家の着工件数が増えています。また、マンション価格も上昇が続いています。

TOPICS@ 地価公示発表。コロナ禍でも住宅需要旺盛が鮮明に?

■地価公示の推移

2022年の地価公示が国土交通省より公表されました。2021年分はコロナ禍で景気が後退した影響で、多くのエリアで変動率はマイナスとなりました。しかし、2022年分の全国平均では、住宅地でプラス0.5%、商業地でプラス0.4%となり、2年ぶりにプラスに転じました。地価公示は毎年1月1日が価格時点ですので、2020年1月は新型コロナウィルスがパンデミックとなる直前の価格であり、2020年分はコロナ直前の状況を反映した価格という訳です。2020年は住宅地変動率が0.8%、2019年が0.6%ですので、2022年は住宅地においては比較的コロナ禍前の水準にまで戻りつつあると言えます。
一方で、都道府県単位で見ると、東京都、愛知県、大阪府ともに商業地も回復傾向にあります。しかし、コロナ禍前の水準には程遠い状況と言えます。さらに、全国の商業地変動率ワースト10のうち大阪・ミナミが8地点を占めるなど、インバウンド需要に支えられてきた商業地エリアなどでの下落が目立っています。

■都道府県別 地価公示変動率

次に都道府県別の住宅地変動率をみてみましょう。住宅地の変動率が上昇した都道府県は、2021年では8エリアであったのに対し、2022年は20に増えました。和歌山県と愛媛県においては変動率は前年と変わりませんでしたが、それ以外の45都道府県では前年よりも変動率が上昇(もしくはマイナス幅の縮小)しました。ここには掲載していませんが、商業地で変動率がプラスになった都道府県は2021年が7だったのに対し2022年が14エリアでした。
住宅地においては、在宅勤務というスタイルが浸透したことによって住環境の改善意欲からの住宅需要が堅調で、都市部や周辺部への住宅地は人気が高く、こうしたエリアは地価の上昇が続いています。また、低金利が続いていることなどもあり、住宅需要が旺盛であることが住宅地地価上昇に寄与していると見られます。

TOPICSA 今後どうなる!?続くマンション価格の上昇

■不動産価格指数(戸建住宅・マンション(区分所有))2010年平均=100

上のグラフは、国土交通省が年間約30万件の不動産取引価格情報をもとに、全国・ブロック別・都市圏別等に不動産価格の動向を指数化した「不動産価格指数」です。これを見るとマンション価格が2013年頃から上昇を続けているのがよく分かります。実際、最新の2022年1月の区分所有マンションの不動産価格指数は、東京都で168.1、大阪府で175.3、愛知県に関しては183.3と初めて180ポイントを超えました。この指数は、2010年平均=100.0 とした数値なので、2010年の平均価格に対して1.7倍〜1.8倍の価格になっているということになります。ちなみに、個別性が強く不動産全体の市況トレンドに左右されにくいと言われる戸建住宅も2021年頃から若干上昇傾向にあるのが分かります。コロナ禍で住宅環境の改善を求める動きが、戸建て住宅価格に一部影響を与えていると見られます。
不動産価格指数が上昇を続けているとお伝えしました。今後も、マンション価格は上昇を続けていくのでしょうか?中古マンションデータをみて考察していきましょう。

■中古マンション在庫件数の推移

どのエリアでもコロナショック以降は暫く売主が売り渋りをしており、在庫件数は減少を続けていました。需給関係で考えると、在庫件数が減少するということはつまり供給量が減少する訳なので、需要が減らない限りは価格は上昇していきます。そして前述の通り、コロナ禍でよりよい住環境を求める人が多かったため、需要は減ることはありませんでした。そこで、価格の上昇は更に進んだものと見られます。しかし、ここにきて2022年に入ってからはコロナ前の水準にまでは戻っていないものの、在庫件数が急に増えてきています。今後、大きく需給関係が崩れることがあれば価格が下がることも考えられますが、住環境改善への流れは今後も暫くは続くものと考えられます。状況が大きく変わることがあるとすれば、要因として考えられるのは「金利上昇」だと思われます。そのため金利動向にも注目していく必要があります。

定点観測データ

T 首都圏中古マンション流通レポート

U 近畿圏中古マンション流通レポート

V 中部圏中古マンション流通レポート

W 貸家着工戸数

X 金利の推移

吉崎 誠二 Yoshizaki Seiji

不動産エコノミスト、社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書
「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社」、「大激変 2020年の住宅・不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人」(青春新書)等11冊。多数の媒体に連載を持つ。
レギュラー出演
ラジオNIKKEI:「吉崎誠二のウォームアップ 840」「吉崎誠二・坂本慎太郎の至高のポートフォリオ」
テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演
公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/

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